不動産登記の委任状の日付と原因日
不動産登記をする事由(登記原因)が生じ、それによって登記をする。
そして、その登記を、司法書士に委任するとする。
例えば、Aさんが死亡したので、その相続人が相続による所有権移転登記を司法書士に委任するとする。
この場合、登記の原因日(相続の場合は被相続人の死亡日)が先、登記の委任日(委任状の日付)が原因日と同日かそれ以降の日になる。
登記原因が生じてから司法書士に委任するので、そりゃそうでしょうということになる。
売買の場合、一般的に、売買契約して手付金を払う。
そして契約には、「売買代金全額支払ったときに所有権が移転する」という特約が付く。
そして、残金決済日に司法書士が立会い、司法書士は、売買代金全額が支払われたその日を原因日とする売買による所有権移転登記の委任を、当事者から同日に受ける。
残金決済に、売主がどうしても来ることができない、というような事情がある場合、事前に、売主から登記の委任状をもらうこととなるが、そういうときはたいてい、説明の上委任日は空欄にしてもらい、登記申請するときに、司法書士が日付を書き込んでいると思う。
この場合、売主が、委任状に日付を書いた場合どうなるか。
この委任状の日付は、登記原因日の売買日より前になってしまうが、それでもいいのか。
登記原因日より前の日付の委任状でも、不動産登記では、委任状に委任事項(登記事項)が具体的に記載されている場合は、条件付委任・始期付委任として有効とされている。
例えば、売主が外国在住の日本人で決済日当日に来れない場合。
その国の大使館・領事館で、委任状に署名・拇印の押印をして、署名・拇印証明書を発行してもらって委任状に綴じる形式の場合、委任状の日付を空欄のまま領事館等には提出できないようなので、委任日を記載する必要があるが、この委任状は決済日までには日本に届いている必要があるので、どうしても、委任日は決済日の前となってしまう。
一方、委任状が、「令和○年○月○日付登記原因証明情報の記載のとおり」というように、委任事項が登記原因証明情報を援用している場合は、事前の委任は不可とされている。
これは、まだ作成されていない登記原因証明情報なので委任事項は不明にもかかわらず、登記を委任するということは考えられない、という理由である。
というわけで、不動産登記の委任状は、委任事項を具体的に書いているものを用意しておく方がいいのでしょう。
ちなみに、自分の場合、不動産登記の委任状は、委任事項(登記事項)を載せている形式のものを作って依頼者に署名押印をもらっており、「登記原因証明情報記載のとおり」という委任状にしたことはない(と思う)。
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