ホーム » 業務 » 相続

相続

成年後見・遺言・相続の各制度の関係は、以下の簡略図のとおりです。

判断能力低下       死亡
——————∥———————–∥———————→
任意後見契約   任意後見開始     相続
遺言       法定後見

■元気なうちに
(1)任意後見契約:将来、判断能力が低下したときの事態に備える
(2)遺言:死亡後のために残す最終の意思表示
(3)財産管理契約:財産の管理を委任します
(4)死後事務委任契約:亡くなった後の事務について委任します

■判断能力が低下してきたら
(1)任意後見監督人選任申立:任意後見契約の発効・開始
(2)法定後見:成年後見・保佐・補助

■亡くなったら
相続:相続人が、被相続人(亡くなった人)の権利義務を承継
遺言執行者が、遺言の内容を実現
任意後見・法定後見:本人の死亡によって終了

■相続
ある人が亡くなった時、その人の権利・義務は、相続人に承継されます。

■誰が何をどのように相続するか(相続分)
遺言があれば、それに従います。
遺言がなければ、相続人全員で、話し合いにより、誰が何を相続するかを決めます(遺産分割協議)。
何もしないのであれば、法定相続分に従って、相続します。

■相続登記
遺言、遺産分割協議、法定相続、遺贈によって、不動産を相続・取得した場合は、不動産登記の手続が必要になります。

■負の遺産(借金)がある場合
被相続人には借金しかない時など、被相続人の財産を相続したくない場合もありえます。
そういうときは、一定期間内に、家庭裁判所に対し、相続放棄申述の手続をすることによって、被相続人の財産を相続しないこととなります。
相続放棄は、「一切の財産を相続しない」ということですので、プラス財産もマイナス財産も放棄することとなります。
一般的に言われるところの「相続財産はいらない=相続放棄」と、意味合い・言葉遣いが違います。

■相続放棄の効果
相続放棄をした者は、最初から相続人ではなかったこととなります。
従って、相続人が子供A・B・Cといて、Aのみ相続放棄をした場合において遺産分割協議をするときは、BとCで協議することとなります。
また、相続放棄は代襲相続の原因にはなりませんので、子供Aに子供(被相続人の孫)がいても、その子は相続人にはなりません。

■相続放棄の注意
相続放棄申述の手続は、相続開始を知ってから3ヶ月以内にする必要があります。
相続財産を処分等すると、その相続を承認したものとみなされますので、相続放棄はできません。

■法定相続人全員が順番に相続放棄申述の手続
明らかにマイナス財産が多いときは、相続人は、相続したくはないでしょう。
そこで、その第一順位の相続人である、配偶者と子供が相続放棄をしました。
相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったことになりますので、配偶者と子供は相続人ではない、つまり、今度は、第二順位の相続人である被相続人の直 系尊属が相続人となり、被相続人のマイナス財産を相続することとなります。
第二順位の相続人もマイナス財産を相続したくないので、相続放棄をしました。すると、次は、第三順位の相続人である被相続人の兄弟姉妹が相続人となりま す。
第三順位の相続人もマイナス財産を相続したくないので、相続放棄をしました。
相続放棄は代襲相続の原因とならず、兄弟姉妹の子供は相続人にはなりませんので、相続放棄はここで終了です。
つまり、ケースによっては、法定相続人全員が相続放棄申述の手続をすることがありうるということです。

第一順位相続人相続放棄→→第二順位相続人相続放棄→→第三順位相続人相続放棄

■限定承認
相続するプラス財産とマイナス財産のどちらが多いかわからないときは、家庭裁判所に「限定承認」の手続をすることができます。
この場合、相続するプラス財産の中から相続した借金を支払えばよいことになります。
限定承認は、相続人全員が共同して行わなければなりません。
限定承認は、相続を知ってから3ヶ月以内にする必要があります。
相続財産を処分等すると、その相続を承認したものとみなされますので、限定承認はできません。

■相続人がいないとき
利害関係人か検察官の請求によって、家庭裁判所は、相続財産管理人を選任します。
相続財産管理人は、相続財産を管理し、債権者や受遺者に対する催告の公告をしたり、相続人を捜索したり等します。

■特別縁故者の財産分与請求
特別縁故者とは、被相続人と一定の特別の縁故があった人のことで、内縁の妻(夫)、生計を同じく していた者、療養看護に努めた者がこれにあたるとされています。
相続人が不存在の場合、特別縁故者に財産が分与されることもあります。
特別縁故者は、相続人捜索の公告期間(6ヶ月)の満了後3ヶ月以内に、家庭裁判所に対し、特別縁故者への財産分与請求を申し立てることができます。
特別縁故者に対して分与をするかしないか、する場合の内容や程度は、縁故の度合い等を考慮して、家庭裁判所が判断します。

相続財産管理人選任
↓→被相続人名義の不動産登記があれば、「相続人不存在」を原因とする「亡○○相続財産」名義に氏名変更登記をする。

↓(相続財産管理人公告(2ヶ月))

相続債権者・受遺者に対する公告(2ヶ月)

相続人捜索の公告(6ヶ月)

↓(相続人が現れなかったら)

特別縁故者の財産分与請求(3ヶ月)

残余財産は国庫へ帰属