ニュースを見ていたら、こういうのがあった。
住民票の保存期間、5年→150年に 総務省が方針(朝日新聞)
不動産登記記録に記録される所有権登記名義人(所有者)の情報は、住所と氏名。
従って、その所有者を探す場合は、登記上の住所の住民票を取ることから始まる。
が、住民票の保存期間は除かれてから5年間なので、例えば、所有者が死亡してから5年以上経過している場合は、除票(除かれた住民票)が取れないかもしれない。
そうなると、もう、探せなくなる。
そういう不都合をなくすために、住民票の保存期間を延長しよう、ということのようだ。
なお、住民票の保存期間は、除かれてから5年間だが、自治体によっては、5年を経過しても保存されている場合もある。
住民票には、希望すれば本籍地の記載もできる。
なので、本籍地の記載ある住民票を取れば、その所有者の本籍地が分かるので、戸籍謄本等も取ることができる。
そうすれば、その所有者が亡くなっていれば、その相続人も判明する。
相続登記の手続きにおいて、「所有権登記名義人である被相続人の最後の住所を証する書面」が必要になる。
登記上の所有権登記名義人と、登記申請された被相続人の同一性を証するために。
登記は、所有者の住所と氏名しかされないため、その同一性は、住所と氏名で確認をする。
この書面の一つが除票。
なのだが、保存期間経過でこれが取得できず、そして、下に記載する戸籍の附票も取得できない場合、つまり、公的な証明書で直接同一性を証明できない場合は、不在住証明書や不在籍証明書や登記済証の写し(原本還付)を添付する等して、間接的に同一性を証明する。
但し、この場合の扱いは、管轄法務局によるので、管轄法務局に確認する必要がある。
そういう意味では、保存期間が長くなるのは、いいことだろう。
一方、「所有権登記名義人である被相続人の最後の住所を証する書面」には、「戸籍の附票」という書面もある。
戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(その戸籍に入籍してから)現在に至るまで(その戸籍から除籍されるまで)の住所が記載されているもののこと。
どちらかというと、私は、戸籍の附票を取ることの方が多い。
こちらの方が、その本籍地にいる期間だけだが、その期間の住所の履歴が記載されているので、助かるからである。
被相続人の登記上の住所と最後の住所が違う場合は、戸籍の附票が役立つ。
どのみち、被相続人の戸籍も取るのだから、併せて附票も請求すればいいだけである。
戸籍と除票を取る場合は、職務上請求書を2枚書かないといけないが、戸籍と附票を取る場合だと、職務上請求書は1枚で済む。
申請書の提出先(送付先)も、本籍地と住所の管轄が同じなら1ヶ所で済むが、これが別だと、2ヶ所となる。
この戸籍の附票の保存期間も、除かれてから5年間である。
なので、除票の保存期間を延ばすなら、戸籍の附票の保存期間も延ばして欲しい。
住民票も戸籍の附票も、除かれてから5年間が保存期間だが、戸籍の附票の場合、転籍や死亡等でその戸籍が除籍にならない限りは戸籍の附票も除かれないので、例えば、被相続人が死亡して5年以上経過していてもその配偶者が生存されている場合は、その被相続人の除票は保存期間経過して取れないかもしれないが、戸籍の附票は取れる。
便利な戸籍の附票だが、この最大の弱点は、本籍地が分からないと取れない、ということである。
相続登記の依頼を受ける。
そのとき、たいて、依頼者は、被相続人の戸籍謄本や自分の戸籍謄本等を取っていることが多い。
そういうときは、その戸籍謄本等を預かって、不足分を取る。
被相続人の除票もあって、被相続人の登記上の住所と除票上の住所が同じである、あるいは、もしそれが違っても、その除票で住所のつながりがつけば、それでいい。
そうでなければ、戸籍の附票をこちらで取る。
(なお、被相続人が、その戸籍における最後の一人で、被相続人の死亡によってその戸籍が除籍になっている場合は、戸籍の除附票となる。)
依頼者が、戸籍謄本等を全く取っておらず、被相続人の最後の住所や本籍地を知らない場合は、その依頼者の住所を聞いて本籍地記載のある住民票を取ったり、被相続人の登記上の住所の本籍地の記載のある住民票(除票)を取ったりして、戸籍謄本等を取っていく。
また、戸籍の附票は、相続人調査において、相続人の住所を特定するために利用する。
例えば、成年後見人等で、本人が亡くなった後に相続人調査をするとき。
本人の戸籍を取っていって、相続人の戸籍と戸籍の附票を取る。
そうすると、その相続人の住所が分かるので、そこ宛てに連絡をする。
ちなみに、戸籍の「ふひょう」の「附票」は、私の使っているIMEだと、漢字変換しても出てこない。
なので、単語登録をした。
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