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相続登記における住所を証する書面

JR中央線(快速)の車両内が、箱根駅伝一色になっていた。

相続登記では、不動産を相続する相続人の住所を証する書面が必要となる。
相続人の住所を証する書面は、次のとおり。
(1)住民票
(2)戸籍の附票
(3)印鑑証明書
(4)住所の記載のある法定相続情報証明書

相続登記と一緒に戸籍等の取得も依頼された場合、依頼者である相続人が、本籍を覚えていないような場合は、本籍の記載のある住民票を取る。
(以前は、運転免許証に、本籍が記載されていましたが、今はその記載はありません。)
本籍が分かっていれば、相続人の戸籍と一緒に戸籍の附票を取る。

印鑑証明書は、不動産を遺産分割協議で相続したのであれば、遺産分割協議書と印鑑証明書はセットなので、たいていある。
なお、相続登記の実務上、登記申請人となる不動産を相続する相続人については、印鑑証明書は不要(なので実印でなくてもいいこととなる)という取り扱いになっている。
とはいえ、やはり実印を押してもらう。
もし、遺産分割協議書に、不動産以外の財産についても記載がある場合、その相続手続きにおいて、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になる場合に備えるためにも、遺産分割協議書は、相続人全員の実印押印と印鑑証明書があるほうがいいでしょう。

法定相続情報証明書に相続人の住所も記載されていれば、相続人の住所を証する書面の代わりにもなる。


相続登記において、遺産分割協議書の印鑑証明書を住所を証する書面としても使う場合。
同じ印鑑証明書であっても、住所証明書と登記原因証明情報の一部と、添付する理由(根拠)が違うため、不動産を相続する相続人ごとに2通添付する必要がある。
印鑑証明書が何通かあって、原本を添付していいなら、原本を2通添付する。

印鑑証明書が1通しかない場合は、コピーを2通取って、住所証明書と登記原因証明情報の一部として添付して、両方とも原本還付をする。
(たいてい、この場合になるだろうか)
印鑑証明書の原本を使っていいなら、コピーを1通取って、原本をコピーを添付して、コピーの方に原本還付をしておく。

なお、マイナンバーカードを使って、コンビニで取った印鑑証明書や住所証明書を原本還付する場合は、両面コピーを取る必要がある。




相続人に外国人がいる場合(その2)


被相続人は日本人。
相続人は、兄弟姉妹で代襲相続が発生し、その甥・姪。
被相続人の姉(Aさん)及びその子(Bさん)の戸籍によれば、途中で中華民国籍(当時)となり、日本国籍喪失となっていた。
従って、AさんBさんについては、これ以降の戸籍はない。

他の相続人の中には、Bさんと付きあいのある人もいたようで、BさんはYさんに名前が変わった、国籍は中華人民共和国で、日本在住で、日本語は分かるし、書けるとのことだった。
そして、Yさんによれば、Yさんは日本で住民票もあり、印鑑登録をしているとのことだった。
また、Aさんについては、Xさんに名前が変わり、国籍は中華人民共和国で、日本にずっと住んでいて、被相続人が亡くなる前に日本で亡くなっている、死亡日は分かるが、それを証明するものはない、とのことだった。

(1)日本在住で死亡した外国人について
調べたところ、「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求」という手続きがあるとのことだった。
そこで、Yさんに、この手続きをしてもらった。
その結果、Xさんに関する、死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しが交付され、そこに死亡日も記載されていた。
これにより、Xさんは、被相続人より先に亡くなっており、代襲相続が発生したことが分かった。
なお、この当時は、任意代理人による手続きはできなかったが、今見たら、任意代理人もできるようになっていた。

死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求(出入国在留管理庁)

(2)日本国籍から中華民国籍になり中華人民共和国籍になった相続人の相続を証する書類
X及びYさんについて、相続を証する公的書類は、日本国籍喪失までの除籍謄本等、Xさんの外国人登録原票の写ししかなく、これ以外何もなかった。
なので、Yさんについて、宣誓供述書を作成し、日本の大使館等で認証してもらうことになると思っていたのだが、どうやら、中国の場合、日本の大使館等では相続に関する宣誓供述書の認証はしておらず、本国のみでする、とのことのようだった。
となると、Yさんに、中国に行ってもらう必要がある…。
しかし、時はコロナでロックダウンをしているとかの時期だったので、入国は事実上不可能だろう。
また、中華民国時代のことでもあるので、中華人民共和国には、Yさんに関する資料はなく、行ったところで、認証はされないのではないか。
というわけで、本国での認証は不可能だと思われた。

こうなるともう、相続人全員からの上申書、しかないか。
相続を証する書類の不足を補うために、相続人全員からの上申書(実印押印、印鑑証明書)を作成し、これでもって相続手続をするしかない、と思われた。

(3)相続登記
というわけで、法務局に相談をしてみる。
どうしようもないので上申書でせざるを得ないと思いますけど…。
回答は、原則どおりとのこと。
まあ、上申書でいいかと言われれば、そう答えざるを得ないか。

でも、もう、相続人全員からの上申書しかない。
そこで、上申書を作成した。
内容は、戸籍上のAさんやBさんは、日本国籍喪失以降、XさんとYさんに名前も変わり、それを証する書面はないが、間違いなくAさんはXさんであり、BさんはYさんであること、XさんにはYさん以外に子供はおらず、Yさん以外に代襲相続人はいないこと、宣誓供述書は中国に行かないと認証できないが、行っても宣誓供述書の認証は不可能だと思われること、自分達以外に相続人はいないこと、といったものにした。

それで、法務局に、戸籍謄本等の他、相続人全員の上申書も添付して、相続登記の申請をした。
無事、完了した。
ほっとした。

未登記建物

今日は寒い。
東京都内の天気予報を見ていると、立川の場合、気温は、都心とは約1度違う。
全国的に寒いとのことで、日本海側だけではなく、東海地方や近畿地方も雪だとか。
大雪で、荷物等の配送も遅れているとのこと。

厚生労働省が、個人にも、希望に応じて、布製マスクを配布することになったとのこと。

相続登記で、未登記の建物があることがある。
評価証明書や納税通知書・課税明細書を見たら、建物が記載されて課税されているのだが、例えば、家屋番号が記載されていなかったり、登記床面積が空欄になっていたりする。
登記の検索をかけても、ヒットしない。

固定資産税は、現況で課税されるので、評価証明書には記載されている。
一方、建物の登記は、新築後の表題登記は義務となっているが、されない場合もあり、そうすると、建物の現物はあるが、登記はないこととなる。(これを、未登記建物と言ったりする)

また、この逆もある。
登記情報はあるのだが、評価証明書等には、その建物の記載がない、という場合である。
建物を取壊したら、滅失登記をする必要があるが、それをしていない場合、固定資産税はかかっていないが、登記だけ残っていることもある。

未登記建物でも、建物の現物はあるので、遺産分割協議書には記載しておく。
建物の表示は、登記がないので、評価証明書等(現況)を参考にして記載をしておく。
そして、相続人から、表題登記と所有権保存登記を申請しておいたほうがいいと思う。

建物は取壊済だが登記だけ残っている場合は、遺産分割協議書に記載しておかなくてもいいと思う。
建物の滅失登記は、相続登記をすることなく、相続人から申請できる(相続人が複数いても、その中の一人からの申請で可)とのことなので、そうすればいいと思う。

2022年(令和4年)4月1日から成年年齢は18歳に


今の民法だと、20才で成年となる。
それが、法律改正により、2022年(令和4年)4月1日から、18才から成年となる。

未成年者が契約等の法律行為をする場合、親権者の同意が必要となる。
その同意がない場合は、取消すことができる、となっている。

では、相続において、今は未成年者だが、この法改正によって、来年のうち成年者となる相続人がいる場合、その遺産分割協議は、相続登記はどうしようか。
例えば、今は17歳だが、来年の4月1日から12月31日の間に誕生日を迎えて18歳になる人が相続人で、その人が不動産を相続することになるような場合、どうしようか。

相続人の中に未成年者がいる場合の問題としては、(1)遺産分割協議と(2)相続登記、があげられる。

未成年者が遺産分割協議をする場合、未成年者が遺産分割協議をできないので、法定代理人である親権者が、その未成年者を代理してする。
未成年者とその親権者がともに相続人の場合、利益相反となるので、家庭裁判所で、特別代理人の選任の手続きが必要となる。

登記の場合、意思能力があれば足りるといわれているので、未成年者だからといって単独で登記申請ができないわけではない。
が、もし司法書士に委任する場合、委任契約は法律行為であることを考えると、法定代理人の親権者が代理する、法定代理人の同意を得る、ということの方がいいとは思う。

しかし、そういった問題も、成年者になれば問題なくなるので、未成年者が成年者になるまで相続手続を待てるのなら、待ってもいいのかなと思う。


例えば、父が死んで、母親と未成年の子供が相続人となる場合、遺産分割協議をしないで法定相続分で相続するなら、特別代理人の選任の手続きをする必要はない。
法定相続分での相続登記であれば、相続人である母親が単独で申請できるので(保存行為)、未成年者の登記申請の問題は避けられるが、この場合、母親の持分だけの登記はできず、全員のために登記することとなる。
母親のみが申請人となって法定相続分の登記を申請するときでも、母親1/2、子供1/2の登記を申請することになる。
しかし、この場合、登記識別情報は、申請人の母親のみにしか通知されず、子供には通知されない。
従って、子供に対しても登記識別情報の通知を希望する場合は、子供も申請人とならなければならない。

 

相続人を間違えるかも…(旧民法730条2項)

なんだかんだと、もう12月。
今年も残すところ、一月。

日本語入力ソフトは、Macではかわせみ3を、Windowsでは、一太郎を入れているので、ATOKを使っている。
かわせみ3では出てこない文字でも、ATOKでは出てくるときがある。
そういうとき、ATOKはいいなと思う。
MacもATOKにしたいな~と思うが、今はもう、買い切り版は売っていないし。
Macで使うなら、ATOK Passport(サブスクリプション版)となるが、これは毎月払い(年払いもあり)してとまでは思わない。

旧民法730条2項
養親カ養家ヲ去リタルトキハ其者及ヒ其実方ノ血族ト養子トノ親族関係ハ之ニ因リテ止ム
(養親が養家を去りたるときは、その者及びその実方の血族と養子との親族関係は、これに因りて止む)

(例)
A(養父)とB(養母)が婚姻し、BがA家の戸籍に入り、ABはCと養子縁組みをした。
その後、AとBは離婚し、Bは実家の戸籍に戻った(去家)。
この場合、BとCの養親子関係は消滅する。

なので、Bが死亡しても、Cは相続人とならない。
また、この旧民法時代の去家による養親子関係の消滅は、応急措置法の施行によって復活することはなく、その後、養親であったBが死亡した場合、Cは相続人とはならない。

応急措置法
日本国憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する応急の措置を講ずることを目的とする法律で、日本国憲法施行日の昭和22年5月3日から施行され、昭和23年1月1日に効力を失う。

この点は、現行民法とは違うところ。
現行民法では、養父母が離婚しても、離縁がない限り、養親子関係は消滅しない。

去家による養親子関係の消滅については、戸籍に記載されていればいいが、記載されなかったものもあったとのこと。
なので、戸籍を見ただけでは分からない場合もあるとのこと。

なので、この旧民法の規定を知らなければ、もし戸籍に養親子関係が消滅した旨の記載がなければ、相続人を間違える可能性もある。
私も、間違えるところだった…。







戸籍を取るときのヒトコト

新しい macOS12 Monterey が、10月26日にリリースされるとのこと。
ということは、来週か。
今使っているParallels15は、OS12になったら使えなくなるとのこと。
なので、macOS12にするなら、Parallelsをバージョンアップをしておくか、あるいは、仮想Winをやめるか、どちらかになる。
仮想Winは、使い続けたい気持ちもある一方で、もういいやという気持ちもあるので、これを機に、検討しようかな。


あ、被相続人の戸籍謄本等を取るときに、請求書に「出生から全て」って書くの忘れた。
あ、定額小為替がない。
あ、午後4時過ぎた。

被相続人の戸籍を取るとき、請求書に、「出生から全て」と書いておくと、その役所で、請求書に記載した本籍や筆頭者が違っても、被相続人に関する戸籍を全て戸籍等を交付してくれる。
なので、相続で被相続人の戸籍を取る場合は、請求書に、「出生から全て交付してください」といいうようなヒトコト添えておく。
これを書き忘れると、その本籍を管轄する役所に、被相続人の全ての戸籍があったとしても、出生から死亡までずっと同じ本籍・筆頭者なら大丈夫だが、請求書に書いた本籍・筆頭者の戸籍しか交付されないことになる。
ようは、被相続人の死亡から出生にいたるまでの途中までの戸籍しか交付されないこととなる。
なので、再度、出生にいたるまでの戸籍をしないとならなくなる。
(あ〜あ…って思ってしまう。)

戸籍謄本等を郵送で請求する場合は、手数料として、定額小為替を入れて送る。
定額小為替は、郵便局の窓口(貯金とかの窓口)で買う。
定額小為替を買う窓口は午後4時までなので、午後4時を過ぎると買えなくなる。

めばちこ


ゆうちょ銀行で、遺言執行者名義の口座は作れないとのこと。
前は作れたのに。
個人名義の口座で、成年後見のときと同じように、登録を遺言執行者にするような感じのものであれば作れるとのこと。
ゆうちょ銀行の相続の場合、相続金は、ゆうちょ銀行への振込か払戻し証書のどちらかで、他行振込はできないので、ゆうちょで執行者名義の口座は作れたほうがいい。

相続人が未成年者の相続登記

コピー用紙は、ずっとアスクルで箱でまとめ買いをしている。
そろそろなくなるので補充しないと、と思いつつ、他の紙に変えたくもなってきた。
ということで、試しに、他のところで、いくつかの紙を最小単位で買ってみた。

被相続人:父
相続人:母、子供(長男、未成年者)

この例で、母親と子供とで遺産分割協議をする場合、未成年者の子供は遺産分割協議ができず、その法定代理人である親権者(つまり母親)が遺産分割協議をすることとなる。
しかし、この遺産分割協議では、母親も相続人で当事者となるため、形式的に、母親と子供の利害が対立(利益相反)することとなるので、母親は子供を代理して遺産分割協議はできない。
こういう場合は、家庭裁判所の手続きで、子供につき特別代理人を選任し(民法第826)、その特別代理人が遺産分割協議を行うこととなる。

法定相続分どおり相続し、遺産分割協議をする必要がなければ、特別代理人の手続きは省ける。
法定相続による相続登記については、相続人一人からの申請でもいいので、母親だけから申請してもいいが、その場合、子供に対しては登記識別情報が発行されない。
子供にも登記識別情報が必要なら、母親と子供とで、相続登記を申請する必要がある。

遺産分割協議なり法定相続なりで、未成年者が不動産を相続することとなった場合の相続登記。
登記については、未成年者でも意思能力があれば司法書士の登記手続きを委任できる、という先例がある。
従って、これに従えば、その未成年者に意思能力があれば、その未成年が登記の委任をすることになる。
とはいえ、じゃあいったい何歳から意思能力があるといえるのかとなると、一律には言えないし、個別事情にもよる。
また、登記の委任契約を締結するという観点からみると、未成年者は単独で法律行為ができないので、親権者の同意を得るか、あるいは、親権者が代理する必要がある。
そういうことからすると、未成年者が登記を司法書士に委任するときは、親権者の同意を得るか、親権者が代理するのがいいかなと思う。
遺産分割協議で特別代理人がいれば、相続登記は、親権者または特別代理人いずれかれでも行うことができる。
従って、この場合は、特別代理人が司法書士に委任をしてもいい。

親権者が手続きする場合は、親権を証する書面(本例では、母親が子供の親権者であることを証する書面)である戸籍謄本が必要となる。
ただ、この戸籍は、相続に必要な戸籍と同じものとなる。
また、もし亡父の法定相続情報証明がある場合、法定相続情報証明は被相続人の父の相続関係を証したものであり、母親と子供の親権関係を証したものではないので、親権を証する戸籍謄本は、代理権限情報として必要になってくると思う。
とはいえ、法定相続情報証明の手続きのために、この戸籍は取っているはずなので、この戸籍は手元にあるでしょう。
特別代理人が相続登記をするときは、特別代理人の選任審判書が必要となる。



法定相続による相続登記

なんだかんだと、今日から9月。
気温が低く、肌寒い。
となんだけど、歩いていたら、暑くなってきた。


被相続人が亡くなって、その遺産を相続人が相続する。
一般的に、相続人間で遺産分割協議をする。
が、別に、遺産分割協議をしないで、各相続人が法定相続分で相続をしてもいい。

法定相続による相続登記は、保存行為として、相続人の一人から申請ができることになっている。
但し、自分の相続分だけの登記をするわけではなく、相続人全員のための登記となる。
相続人A、B、C、法定相続分各1/3のときで、Aが相続登記を申請するとき、Aの持分1/3という持分一部移転登記を申請するのではなく、A1/3,B1/3、C1/3とする所有権移転登記を申請することになる。

このとき、登記識別情報は、申請人となった相続人Aにのみ通知され、それ以外の相続人B、Cについては、通知されないこととなるので、注意を要する。
この相続登記後に売却をする場合、B、Cについては登記識別情報がないため、司法書士の本人確認情報等の手続きが必要になってくる。
従って、法定相続による相続登記をするとき、相続人全員に登記識別情報が必要なら、相続人全員から申請をする必要がある。


相続人が一人しかいない、という場合を除いて、法定相続による相続登記って、おそらく、これまでしたことがないと思う。
不動産はできれば共有を避けて一人の相続人が相続をしたほうがいいと思うし、相続人が法定相続分どおり相続する場合であっても、遺産分割協議でそうなったとか、あるいは、証拠を残す意味で、法定相続分どおり相続するという遺産分割協議書はあった方がいいとも思うし。
また、法定相続の登記をしたあとに、遺産分割協議が成立した場合は、また登記をしないといけないし、税金の問題もある。

遺産分割協議証明書

なんだかんだと7月になって。
一年の 半ばが過ぎし 梅雨の空


一般的に、遺産分割協議書は、1通の用紙に相続人全員が署名押印し、それを相続人分作成し、各相続人が持つ。
例えば、相続人が3人いる場合、遺産分割協議書を3通作成し、相続人3人全員がその遺産分割協議書に署名押印をし、各相続人が持つ。
しかし、相続人1人遺産分割協議書1通というのも可能。
この場合、遺産分割協議証明書と言ったりする。
これは、遺産分割協議が成立したことを、相続人が証する書面である。

例えば、相続人が3人いる場合、相続人1人につき遺産分割協議証明書1通を作成し、それにその相続人が署名押印する。
相続人ごとに署名押印した遺産分割協議証明書3通で、一つの遺産分割協議書となる。
ようは、遺産分割協議書1通に相続人全員が署名押印するか、相続人ごとに遺産分割協議証明書にして署名押印するか、である。

1通の遺産分割協議書に相続人全員が署名押印するとなると、相続人の間で、遺産分割協議書を回さなくてはならない。
全員が集まるとか、お互いが近いとか、全員がすぐに署名押印できるようなら、それでいい。
が、相続人の人数が多い、相続人が遠方、海外に住んでいるような場合、1通に全員が署名押印するとなると、時間がかかる。
なので、そういう場合は、遺産分割協議証明書の方がいいと思う。
特に、相続人が海外に住んでいる場合、書類の送付に時間がかかるだろうし、協議書に綴じ込む形でのサイン証明書が必要になるので、相続人ごとの遺産分割協議証明書のほうがいいと思う。

一方、遺産分割協議証明書の場合、相続人1人につき1通になるので、コピーやスキャンをする枚数が、遺産分割協議書のときよりも増える場合も出てくる。
相続登記で相続人が3人の場合、スキャンしたりコピーしたりするのは、遺産分割協議書だとそれ1通と印鑑証明書3通だが、遺産分割協議証明書だとそれ3通と印鑑証明書3通になる。
また、遺産分割協議証明書に、不動産以外の遺産のことも記載されていて、その記載を墨消しするような場合も、その3通全てに墨消しをしなければならなくなる。