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死者名義とする相続登記
数次相続が起こっている場合、死者名義とする相続登記を申請する場合もある。
数次相続とは、被相続人が死亡して相続が発生したが、その手続き前に、その相続人が亡くなって相続が発生したような場合をいう。
例えば、不動産の所有者A(父)が亡くなり、その相続人がB(母)、C(長男)、D(二男)といるが、Aの相続登記をする前に、相続人Bが死亡し、Bについても相続が発生したような場合である。
Aの相続を一次相続、Bの相続を二次相続、という。
(例)
不動産の所有者A(祖父)で、死亡。
祖母はそれより前に死亡。
その子供B(長男)、C(二男)。
そして、Bが死亡し、その相続人D(Bの妻)とE(Bの長男、Aの孫)とする。
相続人全員の協議で、不動産をEが相続する、となった場合。
Eが不動産を相続するためには、EはAの相続人ではなくBの相続人であるため、AとBの相続人全員でいったん不動産を亡Bが相続し(一次相続)、亡Bの相続人全員でEが不動産を相続する(二次相続)するといった遺産分割協議をすることとなる。
時系列では、A→B(一次相続)、B→C(二次相続)なので、登記もそのように申請することになり、一次相続の登記申請名義は亡Bとなり、その申請人は、亡Bの相続人となる。
しかし、実務上では、本例のように、中間の相続人が単独になった場合(本例では、遺産分割協議により亡Bが不動産を相続することとなった)、AからCへの相続登記は可能となるので、通常は、この方法で申請されると思われる。
登記原因日付は、年月日A相続(Aの死亡日)、年月日相続(Bの死亡日)とする。
数次相続の場合、中間の相続人が単独になった場合は、最終の相続人に直接相続登記ができるのが、実務上の扱いである。
従って、中間の相続人が単独でなければ、これはできず、相続した順番に相続登記を申請していくこととなる。
不動産の所有者A死亡、その相続人がBとCで、遺産分割協議はされないまま、Bが死亡し、相続人はCのみとなった場合。
このときは、A→亡B(持分1/2)、C(持分1/2)の相続登記と亡B→Cの相続登記(B持分全部移転登記)をすることとなる。
租税特別措置法第84条の2の3第1項
個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするためにうける登記については、登録免許税を課さない。
この適用を受けるためには、申請書に、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載しなければならず、この記載がない場合は、免税措置は受けられないとのこと。
A→一次相続→B→二次相続→Cとなった場合、申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載して申請する場合は、土地のA→Bの相続登記には登録免許税が課せられない。
なので、土地について、数次相続が発生し、死者名義に相続登記をするときは、本条の適用を受け、登録免許税が非課税になる場合もあるので、注意を要する。
ただ、上記の例のように、中間の相続人が単独となった場合は、中間の相続登記は省略できるので(A→B→Cではなく、A→Cの登記をする)、このA→Cの相続登記の場合は、本条の適用はなく、登録免許税を納付する。
相続と抵当権抹消(抵当権抹消の書類がない)
所有権登記名義人である被相続人が生存中にローンを完済し、抵当権抹消登記をすることなく亡くなったが、ローン完済時に金融機関から送られてきたであろう抵当権抹消に関する書類がない場合。
この場合、相続登記と抵当権抹消登記をすることになるが、抵当権抹消登記に関する金融機関(抵当権者)の書類がないため、金融機関に、抵当権抹消書類に関する書類の再発行を依頼する。
相続人が再発行を依頼するときは、相続関係を証する戸籍謄本等が必要でしょう。
再発行を依頼した場合、解除証書等の登記原因証明情報や委任状は再発行してくれるが、抵当権の登記済証や登記識別情報は再発行はされない。
これは、いたしかたない。
抵当権抹消登記申請にあたり、紛失等により抵当権の登記済証や登記識別情報が添付できないときは、事前通知か資格者代理人の本人確認情報によることとなる。
金融機関は、事前通知と言ってくるので、急ぐ等の特別な事情がなければ、登記済証等は紛失で添付できないとして、抵当権抹消登記を申請をする。
事前通知の場合、委任状に登記義務者となる抵当権者の実印押印と印鑑証明書が必要になるが、会社等番号を提供すれば、この印鑑証明書は添付省略可能となるので、通常はこうなる。
とはいえ、委任状に押印された実印が、本当に実印かどうかを確認するために抵当権者の印鑑証明書は必要になるが、実印照合用の印鑑証明書のコピーも一緒に送ってくれる場合もある。
また、事前通知の場合は、登記申請後、法務局から抵当権者に連絡がいき、それに抵当権者が返答してから手続きが進んでいくので、通常よりは登記完了まで時間がかかる。
(住宅金融支援機構のサイトに、「融資金完済時お渡しした抵当権抹消に必要な書類がお手元にない方」というページがあるので、参考になるでしょう。)
抵当権抹消登記は、登記権利者を所有権登記名義人(被相続人)とし、登記義務者を抵当権者とする共同申請になるが、この場合の申請人(登記権利者)は誰になるか。
時系列は、抵当権抹消原因発生→相続発生なので、被相続人の相続人が、被相続人の登記申請義務を相続することとなるので、抵当権抹消登記の申請人は被相続人の相続人ということになり、その相続人全員あるいは一人から、抵当権抹消登記を申請することとなる。
登記申請の順番も、時系列からいえば、抵当権抹消登記、相続登記となろう。
しかし、抵当権抹消登記の申請人が所有権登記名義人ということは、不動産を相続した相続人が抵当権抹消登記の申請人になれる、ということでもある。
従って、自分の場合は、こういう場合でも、先に相続登記をして、その不動産を相続した相続人から抵当権抹消登記をする、というようにしている。
相続関係説明図
今日も熱い。
気温だけみたら、東京は、那覇より熱い。
栃木県の佐野では、41度とのこと。
相続関係説明図とは、相続登記において、被相続人や相続人の戸籍を原本還付するために、作成して添付する書類のこと。
通常、相続関係説明図を添付する。
相続関係説明図について、細かいが、相続人の住所を記載するか、ということがある。
以前は、記載していた。
ところが、あるときから、記載しなくてもいいようなことを聞き、それからは記載したり記載しなかったりしている。
以前は、相続関係説明図で、「相続と住所を証する書類」を還付していた。
戸籍謄本等と一緒に、不動産を相続する相続人の住所証明書を還付していた。
申請書には、相続関係説明図を添付し、相続人の住所証明書は戸籍謄本等と一緒に原本は提出するが、添付していなかった。
確か、遺産分割協議書・印鑑証明書も同様だった。
ところが、これが変わり、今は、申請書に相続人の住所証明書を添付することとなり、相続関係説明図では住所証明書は原本還付できず(原本還付が必要なら住所証明書のコピーを添付する)、相続関係説明図は、戸籍謄本等の相続を証する書類を原本還付するためのものとなった。
従って、相続関係説明図は、戸籍の内容を最低限反映していればいいことになり、戸籍に相続人の住所の記載はないのだから、相続関係説明図にもなくてもいい、ということなのだろうか。
遺産分割の審判書に基づく相続登記
相続人間で遺産分割協議が成立しないとき、家庭裁判所の手続きである遺産分割調停を利用して、遺産分割をする。
調停が成立しなければ、審判となる。
調停が成立すれば遺産分割の調停調書が作成され、審判となった場合は審判書が作成される。
そして、この調停調書や審判書に基づいて、相続登記をすることとなる。
遺産分割の審判書に基づく相続登記の必要書類は、以下のとおり。
<審判書に基づく相続登記>
○審判書(謄本でいい)と、この審判の確定証明書
○不動産を相続する相続人の住民票や戸籍の附票
○不動産の評価証明書や課税明細書
○審判書上の被相続人の最後の住所と登記上の住所が相違しているときは、その繋がりをつけるための住民票の除票等
○委任状(司法書士に委任する場合)
審判による相続登記の場合は、調停調書に基づく場合と同様、被相続人や相続人の戸籍謄本等は不要となる。
というのも、相続関係は家庭裁判所で判断されていることから、調停調書や審判書が、相続を証する書面となるので。
但し、審判書に被相続人の死亡年月日が記載されていない場合は、被相続人の死亡を証する戸籍謄本等が必要にる。
と教科書的には言われているが、このケースは今はないのではないかと思う(自分の経験上、見たことはない)。
審判書上の被相続人の最後の住所と登記上の住所が同じならそれでいいが、これが違う場合、その繋がりをつける除票等が必要になる。
しかし、審判書によっては、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が併記されているものもある。
このときでも、住所の繋がりをつける除票等が必要になるのだろうか。
このことについて、以前、調停調書の場合であるが、照会したとき、不要とのことだったので、審判書の場合も同じであろう。
審判については、これは当事者間で合意ができない場合の裁判官の判断であり、これに対して当事者が異議を述べる(抗告をする)ことができるため、審判書だけでは、これが確定しているかどうか分からない。
従って、審判が確定したことを証明するために、確定証明書が必要となる。
確定証明書は、審判書を受取り、抗告期間が経過したあとに、家庭裁判所に申請をして取得する。
なので、忘れないようにする必要がある。
相続登記義務化と相続人申告登記
相続登記は、相続人が相続の開始を知り不動産の取得を知った日から3年以内に申請しなければならないこととなった。
これは、令和6年4月1日より前に発生した相続にも適用されるが、この場合の起算点は、施行日の令和6年4月1日となる。
従って、この場合は、令和9年3月31日までに相続登記をすればいいこととなる。
そして、相続登記の義務に違反した場合は、10万円以下の過料課せられることになった。
とはいえ、相続人間で遺産分割協議がまとまらないような事情があり、3年以内に相続登記をすることが難しい場合もある。
そういう場合に、簡易にその義務を履行できるように創設された制度が、相続人申告登記である。
相続人申告登記をすることにより、これをした相続人は、過料から免れることができる。
相続人申告登記は、簡易な手続きであるため、相続人一人からでもでき、申出人が相続人であることを証する戸籍も、必要最低限でいいとのこと。
例えば、不動産の所有権登記名義人である被相続人が父で、その子供が相続人申告登記をする場合、父が死亡した記載のある戸籍と、その申出人がその子供であることを証する戸籍で足りる(父の出生からの戸籍でなくてもいい)。
申出手続は、書面の他ブラウザ(かんたん登記申請)でも可能であり、押印や電子署名は不要。
非課税である。
しかし、相続人申告登記は、自分は相続人である、ということを登記上に示すものであり、これをしたからといって、遺産分割による相続登記の申請義務を履行することはできない。
相続人申告登記と実際にその不動産を誰が相続したかは無関係であり、結局は、遺産分割協議等をして、誰がその不動産を相続するか決めなければならない。
そして、遺産分割協議が成立したら、その協議の成立日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない。
相続人申告登記をすると、その申出人が登記されるので、その不動産の登記情報等を見た役所や業者等から、連絡があるかもしれない。
また、相続人申告登記を司法書士に依頼する場合、報酬等もかかる。
簡易な手続きとはいえ、遺産分割協議はないものの、戸籍を取ったりして、相続登記とそうは変わらないような手続きであるので、それなりの報酬はかかるであろう。
また、司法書士に依頼しなくても、戸籍謄本等の費用や、交通費や送料等の実費はかかる。
従って、不動産の所有者が、令和6年4月1日より前に亡くなっている場合は、まず、相続人間で遺産分割協議を進め、令和9年3月31日までに相続登記ができなさそうであれば、いったん相続人申告登記をしておく、ということでもいいのかなと思う。
相続人申告登記のメリット・デメリット(思いつくまま)
メリット
相続登記の申請義務を履行したものとみなされ、過料から免れることができる。
相続人一人からでもできる。
戸籍謄本等も、必要最低限でいい。
非課税。
デメリット
登記情報に、申出人の住所氏名が載るので、それを見た役所や業者等から連絡がくる可能性がある。
簡便な手続きとはいえ、手続きは必要。
戸籍謄本の取得費用や郵送代等はかかる。
相続登記における住所を証する書面
JR中央線(快速)の車両内が、箱根駅伝一色になっていた。
相続登記では、不動産を相続する相続人の住所を証する書面が必要となる。
相続人の住所を証する書面は、次のとおり。
(1)住民票
(2)戸籍の附票
(3)印鑑証明書
(4)住所の記載のある法定相続情報証明書
相続登記と一緒に戸籍等の取得も依頼された場合、依頼者である相続人が、本籍を覚えていないような場合は、本籍の記載のある住民票を取る。
(以前は、運転免許証に、本籍が記載されていましたが、今はその記載はありません。)
本籍が分かっていれば、相続人の戸籍と一緒に戸籍の附票を取る。
印鑑証明書は、不動産を遺産分割協議で相続したのであれば、遺産分割協議書と印鑑証明書はセットなので、たいていある。
なお、相続登記の実務上、登記申請人となる不動産を相続する相続人については、印鑑証明書は不要(なので実印でなくてもいいこととなる)という取り扱いになっている。
とはいえ、やはり実印を押してもらう。
もし、遺産分割協議書に、不動産以外の財産についても記載がある場合、その相続手続きにおいて、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になる場合に備えるためにも、遺産分割協議書は、相続人全員の実印押印と印鑑証明書があるほうがいいでしょう。
法定相続情報証明書に相続人の住所も記載されていれば、相続人の住所を証する書面の代わりにもなる。
相続登記において、遺産分割協議書の印鑑証明書を住所を証する書面としても使う場合。
同じ印鑑証明書であっても、住所証明書と登記原因証明情報の一部と、添付する理由(根拠)が違うため、不動産を相続する相続人ごとに2通添付する必要がある。
印鑑証明書が何通かあって、原本を添付していいなら、原本を2通添付する。
印鑑証明書が1通しかない場合は、コピーを2通取って、住所証明書と登記原因証明情報の一部として添付して、両方とも原本還付をする。
(たいてい、この場合になるだろうか)
印鑑証明書の原本を使っていいなら、コピーを1通取って、原本をコピーを添付して、コピーの方に原本還付をしておく。
なお、マイナンバーカードを使って、コンビニで取った印鑑証明書や住所証明書を原本還付する場合は、両面コピーを取る必要がある。
成年後見人による相続登記
12月となった。
今年も残すところ、カレンダーが1枚となった。
「The Real Anthony Fauci 人類を裏切った男(上) 巨大製薬会社の共謀と医療の終焉」を読み終えた。
一回じゃ足りないなと思い、再読。
本書は、アメリカでの話ではあるが、日本にも当てはまるな…と思いながら読んだ。
ただ、これは偶然ではないのだろう。
成年被後見人等が、成年後見人等や他の相続人の間の遺産分割協議で不動産を相続し、成年後見人等が相続登記を申請する場合。
成年後見人等が、遺産分割協議をし、登記申請をする場合は、その権限を証するものとして、後見等の登記事項証明書が必要になる。
この場合の登記事項証明書は、相続人が成年被後見人等で成年後見人等が遺産分割協議を代理することができることを証する書面で、遺産分割協議書の一部になるものであり、そして、登記申請を代理する代理権限証書となる。
この場合の相続登記の申請書には、後見等の登記事項証明書を添付するが、後見等の登記事項証明書は2通必要になるのだろうか。
質問して回答を得たことはないが、自分は次のように思っている。
遺産分割協議における後見等の登記事項証明書は登記原因証明情報の一部であり、登記申請における後見等の登記事項証明書は代理権限証書となるので、添付根拠は別になり、原則として2通必要になる。
しかし、同じものであり、後見等の登記事項証明書は原本還付できるので、これを原本還付すれば原本は1通で足りるが、登記申請書にはそのコピーを2通添付するのではないかと思う。
なので、自分は、成年後見人として相続登記を申請するときや成年後見人等からこういう場合の登記の委任を受けたときは、3カ月以内の後見等登記事項証明書のコピーを2通添付(原本還付)して相続登記を申請している。
戸籍謄本等の日付
「ネオコンの残党との最終戦争 甦る米国の保守主主義」(ビジネス社)、著者:渡辺惣樹、という本を読んだ。
バイデン政権、民主党の背後にいるのが、ネオコンといわれる勢力。
ネオコンが不正選挙までして当選させたのがバイデン大統領。
ネオコンの目的は、自分たちがこの世界を支配する(米国一極覇権)、というもので、そのためには戦争を辞さない。
今のアメリカは、かなり左傾化し、全体主義化しているという。
今度のアメリカの大統領選は、アメリカをますます左傾化全体主義化させるか、それともアメリカを取り戻すか、の戦いとなるだろう、とのこと。
イラク、リビアでの戦争はネオコンが仕組んだもので、ウクライナ戦争も、ネオコンが仕組んだもの、とのこと。
ネオコンは、プーチン大統領を失脚させ、ロシア(天然資源等)を手に入れるべく、NATOやウクライナを利用して、ロシア、プーチン大統領に嫌がらせをしていた。
それに対して反撃したのが、今回のウクライナ戦争である。
日本も同様に、左傾化、全体主義化している。
前からそう感じていたが、コロナのとき、痛感した。
しかも、これを進めているのが、保守といわれる自民党だし…。
相続登記において必要な被相続人や相続人の戸籍謄本等は、相続人の戸籍については、被相続人の死亡後のものが必要ということはあるが、それ以外、期限的な縛りはない。
法律上、そういう規定はない。
昭和40年に全部除籍された除籍謄本があったとして、これは、昭和40年以降その除籍に変更はないので、平成元年に取ろうが、令和元年に取ろうが、内容に変わりはない。
なので、平成元年に取った除籍謄本でも、相続登記では使える。
また、例えば、被相続人が平成20年11月20日に死亡して、依頼者が平成21年1月20日付の相続人の戸籍謄本を持っているとき、これから相続登記を申請する場合に、この平成21年付の相続人の戸籍を使うかどうか、である。
問題はないかもしれないが、自分の場合、相続人の戸籍と住民票・戸籍の附票は、相続人は生きていますよ、というこという(確認する)ために、古いものは使わず、最新のものを取るようにしている。
平成21年付の相続人の戸籍を、令和5年の相続登記で使うとすると、この間に10年以上もの期間があり、この間に、相続人が亡くなっているかもしれないし、もし亡くなっていれば相続関係がが変わってくるので、相続人の生存を確認するために、相続人の戸籍は新しいものを取るようにはしている。
相続登記の登録免許税の免税措置
相続登記の登録免許税の免税措置
(1)相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合
個人が相続(相続人に対する遺贈も含む)により土地の所有権を取得した場合で、相続登記をしないでその人が亡くなったときは、平成30年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの間に、その人を相続人とする相続登記については、登録免許税が課税されない。
免税を受けるためには、申請書に適用法令を記載する。
申請書の登録免許税のところに、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する、とのこと。
A死亡→相続(未登記)→B死亡→相続→C
のようなとき、B名義にする土地の相続登記については、登録免許税は非課税。
(2)不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
土地について相続による所有権移転登記または所有権保存登記をする場合、不動産の価額が100万円以下(持分の場合は、持分を乗じた価額)の土地については、平成30年11月15日から令和7年(2025年)3月31日までに相続登記をする場合は、登録免許税が課税されない。
免税を受けるためには、申請書に適用法令を記載する。
申請書の登録免許税のところに、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載する、とのこと。
相続登記をする土地が複数あって、その一部が非課税となるときは、以下のように記載するとのこと(法務局の記載例による)。
登録免許税 金○円
一部の土地(○市○町○丁目○番地○の土地)について租税特別措置法第84条の2の3第2項に
より非課税
不動産の表示
不動産番号 ○○○○○○
所 在 ○市○町○丁目
地 番 ○番○
地 目 山林
地 積 123平方メートル
租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税
不動産番号 △△△△△△
所 在 ○市○町○丁目
地 番 △番△
地 目 宅地
地 積 234.56平方メートル
評価額が100万円以下の土地は、公衆用道路や山林等、まああるのかなと思う。
また、宅地であっても、地積が小さければ100万円以下の場合もあろうし、全体では100万円を超えていても持分をかけたら100万円以下になる場合もあろう。
複数の土地のうち、一部が非課税のとき、法務局の記載例では、「一部の土地(○市○町○丁目○番地○の土地)について〜」となっている。
これが例えば、相続登記をする土地が全部で5筆あって、そのうち4筆が非課税対象だった場合も、「一部の土地(4筆全ての土地を記載)について」と記載するのだろうか。
「一部の土地(課税される土地)を除く全ての土地について〜」というような記載でもいいのだろうか。
たまたま、複数の土地のうち、一筆だけ課税され、残りは非課税の登記があったので、そう思ったのだが、結局、記載例どおりにして、申請をした。
相続人に外国人がいる場合(その2)
被相続人は日本人。
相続人は、兄弟姉妹で代襲相続が発生し、その甥・姪。
被相続人の姉(Aさん)及びその子(Bさん)の戸籍によれば、途中で中華民国籍(当時)となり、日本国籍喪失となっていた。
従って、AさんBさんについては、これ以降の戸籍はない。
他の相続人の中には、Bさんと付きあいのある人もいたようで、BさんはYさんに名前が変わった、国籍は中華人民共和国で、日本在住で、日本語は分かるし、書けるとのことだった。
そして、Yさんによれば、Yさんは日本で住民票もあり、印鑑登録をしているとのことだった。
また、Aさんについては、Xさんに名前が変わり、国籍は中華人民共和国で、日本にずっと住んでいて、被相続人が亡くなる前に日本で亡くなっている、死亡日は分かるが、それを証明するものはない、とのことだった。
(1)日本在住で死亡した外国人について
調べたところ、「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求」という手続きがあるとのことだった。
そこで、Yさんに、この手続きをしてもらった。
その結果、Xさんに関する、死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しが交付され、そこに死亡日も記載されていた。
これにより、Xさんは、被相続人より先に亡くなっており、代襲相続が発生したことが分かった。
なお、この当時は、任意代理人による手続きはできなかったが、今見たら、任意代理人もできるようになっていた。
死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求(出入国在留管理庁)
(2)日本国籍から中華民国籍になり中華人民共和国籍になった相続人の相続を証する書類
X及びYさんについて、相続を証する公的書類は、日本国籍喪失までの除籍謄本等、Xさんの外国人登録原票の写ししかなく、これ以外何もなかった。
なので、Yさんについて、宣誓供述書を作成し、日本の大使館等で認証してもらうことになると思っていたのだが、どうやら、中国の場合、日本の大使館等では相続に関する宣誓供述書の認証はしておらず、本国のみでする、とのことのようだった。
となると、Yさんに、中国に行ってもらう必要がある…。
しかし、時はコロナでロックダウンをしているとかの時期だったので、入国は事実上不可能だろう。
また、中華民国時代のことでもあるので、中華人民共和国には、Yさんに関する資料はなく、行ったところで、認証はされないのではないか。
というわけで、本国での認証は不可能だと思われた。
こうなるともう、相続人全員からの上申書、しかないか。
相続を証する書類の不足を補うために、相続人全員からの上申書(実印押印、印鑑証明書)を作成し、これでもって相続手続をするしかない、と思われた。
(3)相続登記
というわけで、法務局に相談をしてみる。
どうしようもないので上申書でせざるを得ないと思いますけど…。
回答は、原則どおりとのこと。
まあ、上申書でいいかと言われれば、そう答えざるを得ないか。
でも、もう、相続人全員からの上申書しかない。
そこで、上申書を作成した。
内容は、戸籍上のAさんやBさんは、日本国籍喪失以降、XさんとYさんに名前も変わり、それを証する書面はないが、間違いなくAさんはXさんであり、BさんはYさんであること、XさんにはYさん以外に子供はおらず、Yさん以外に代襲相続人はいないこと、宣誓供述書は中国に行かないと認証できないが、行っても宣誓供述書の認証は不可能だと思われること、自分達以外に相続人はいないこと、といったものにした。
それで、法務局に、戸籍謄本等の他、相続人全員の上申書も添付して、相続登記の申請をした。
無事、完了した。
ほっとした。
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