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相続登記と検索用情報の単独申出とスマート変更登記

不動産が、AとBの共有。
Aが死亡し、A持分をBが相続する。
Bの登記上の住所と現住所が違う。
そんな場合。

(1)Bを相続人とする相続登記の申請とBの検索用情報の申出(同時申出)
これはいいでしょう。

次に、既に登記されているBの持分については、住所変更登記が義務化されたので、以下の選択肢がある。
(1)住所変更登記をする
(2)住所変更登記はせず、検索用情報の単独申出をする(スマート変更登記)
(3)住所変更登記をし、検索用情報の単独申出をする
どれを選択
するかは、Bの意向による。

登記上の住所と現住所が変わっていても、現住所で、検索用情報の申出ができる。
その場合は、後日、法務局から職権で住所変更登記をする旨の通知がいき、それに了承すれば、職権で住所変更登記がされる(スマート変更登記)。

登記上の住所と現住所が違う場合、その変更の経緯を、法務局が住基ネットで確認できない場合は、変更の経緯を確認できる戸籍の附票等が必要になる、とのこと(概ね、平成22年10月5日以降の変更であれば、原則として、書類の提出は不要になるとのこと)。

とはいっても、住所の変遷の確認は必要なので、戸籍の附票(本籍入り)や住民票(本籍入り)は取る必要がある。


住所変更登記と検索用情報の単独申出(スマート変更登記)のおおまかな違い
○住所変更登記は、登記申請なので、申請して処理されれば、住所変更の旨が登記上に反映される。
検索用情報の単独申出(スマート変更登記)の場合は、法務局から通知が来てから職権登記されるので、いつ職権登記されるか分からない。
なので、住所変更登記をしておく必要があるといった事情があるなら、登記申請をした方がいいでしょう。

○住所変更登記は、登録免許税(不動産1つにつき1,000円)を納める必要がある。
検索用情報の単独申出をするときに、登録免許税といった納めるものはない。
後日にされる職権登記のときも、同様。
なので、登録免許税といった観点からだけみれば、検索用情報の単独申出をする方が、お得。
但し、司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬がかかる。


相続登記の時に検索用情報の申出をし、既に登記されている分については、例えば住所変更登記だけをする場合。
一方は検索用情報を申出ている一方、もう一方は申出ていないという、アンバランスな状況になる。

司法書士が、Bから相続登記の依頼を受けた場合、こういったことも説明する必要があるでしょう。

家督相続と遺産相続

毎日、熱い日が続く。
外を歩いたら、汗だく。

明治31年に、民法の第4編(親族法)、第5編(相続法)が公布された。
これを、旧民法ということとする。
昭和22年5月3日、日本国憲法の施行に伴い、民法の応急的措置に関する法律が施行された(以下、応急措置法ということとする)。
そして、旧民法が改正され、昭和23年1月1日、改正民法が施行された。
これを、新民法ということとする。
その後、新民法は、何度か改正され、今に到る。

「家督相続」と「遺産相続」は、旧民法における相続の形態であり、新民法では不適用となり廃止されたものである。

家督相続は、以下の事由によって開始する。
(1)戸主の死亡、隠居、国籍喪失
(2)戸主が婚姻または養子縁組みの取消しによってその家を去ったとき
(3)女戸主の入夫婚姻または入夫の離婚

ここでは、死亡と隠居について記す。

家督相続が発生すると、家督相続人が戸主となる。
家督相続人は、法で定められており、第1順位の家督相続人(第1種法定家督相続人)は、戸主と同じ家、同じ戸籍に属している直系卑属である。
親等が異なる場合は近い者を先にし、親等が同じ者の場合は男を先にする。
多くは、長男が家督相続をしているようである。
家督相続は、単独相続である。
家督相続であることや誰が家督相続をしたかは、戸籍に記載されるので、戸籍を見れば分かる。
そういう意味では、分かりやすい。

遺産相続は、家族(その家の戸籍にある戸主以外の者を家族という)の死亡によって開始する相続である。
この場合の遺産相続人は、第1順位が直系卑属(複数いる場合各相続分は同等)である。
家督相続の場合と違い、戸主と同じ戸籍にいなくても、直系卑属であれば、遺産相続人となる。
配偶者は第2順位である。

家督相続や隠居は、新民法施行によって廃止された制度ではある。
しかし、だからといって現在は無関係である、ともいえない。
というのも、
相続について適用される民法は、相続開始時に施行されていた民法になるからである。

例えば、明治以降
全く相続登記がされていない不動産について相続登記をしようとして、所有権登記名義人である被相続人の戸籍を取っていったところ、その被相続人について家督相続が発生していたら、まずは旧民法が適用法令となる。

相続開始が、昭和22年5月2日までなら旧民法、昭和22年5月3日から12月31日までなら応急措置法、昭和23年1月1日からなら新民法が、それぞれ適用法法令となる。

また、隠居による家督相続の場合は、注意が必要である。
隠居は生前にされるものなので、隠居後にその人は亡くなるが、隠居した後は戸主ではなくなるので、この場合は「遺産相続」となり、応急措置法施行後に死亡した場合は「相続」となる。

これは、相続登記にも影響してくる。
家督相続か遺産相続か相続かは、不動産を取得した日と隠居した日の先後、死亡日による。
不動産取得日は、その不動産の登記事項証明書や登記情報を見れば分かるでしょう。

隠居前に不動産を取得していたら「家督相続」、隠居後に不動産を取得していたら、死亡が旧
民法時代なら「遺産相続」、死亡が応急措置法施行後なら「相続」となり、登記原因もそれぞれ、「家督相続」・「遺産相続」・「相続」である。

相続登記をするとき、場合によっては、
旧民法と応急措置法と新民法が適用される相続であることもあるので、そういうときは、戸籍謄本等を取って各法律を調べながら、誰が相続人となっていくかを判断していくこととなる。
また、相続分を算出する場合、相続分も相続開始時期の法律による。

いずれにせよ、戸籍は結構な量になるでしょう。

法定相続情報証明を使った相続登記

先日、自分が某所のエレベーターに乗っていたら、複数名が乗ってきて(何かの集まりのよう)、ある人が階数ボタンを押して、「あ、間違った」と言った。
「間違ったなら取り消して」と思ったが、その人は何もしないので、すかさず自分が、ボタンの2度押しをして、取り消した。
そうしたら、その人は、ビックリしていた。

エレベーターで、階数のボタンを間違って押してしまった場合。
その階数のボタンを2度押しすると、取り消せる場合がある。
それを知ってから、階数ボタンを間違って押したときは、2度押しをしている。


法定相続情報証明書は、相続登記の申請にも使える。
法定相続情報証明書は、登記原因証明情報になる。
また、不動産を相続する相続人の住所が記載されていれば、住所証明情報にもなる。

法定相続情報証明書に右上に、法定相続情報番号というものがある。
申請情報の登記原因証明情報のところに、この法定相続情報番号を記載すれば、法定相続情報証明書は添付省略できる。
また、住所証明情報のところに法定相続情報番号を記載すれば、これも添付省略ができる。
「登記原因証明情報(法定相続情報番号(○○○○-○○-○○○○○))」
「住所証明情報(法定相続情報番号(○○○○-○○-○○○○○)」

オンライン申請する場合は、法定相続情報証明書と他の登記原因証明情報(遺産分割協議書や印鑑証明書)をPDF化することとなる。
ところで、オンライン申請で、必要事項の記載のある相続関係説明図のPDFを添付するときは、遺産分割協議書・印鑑証明書のPDFは添付しなくてもいい、という取扱いになっている。
では、オンライン申請で法定相続情報証明書を使う場合でも、相続関係説明図を添付したら、遺産分割協議書・印鑑証明書の添付は省略できるのだろうか、とふと考えた。
遺産分割協議書・印鑑証明書のPDF化って、少々面倒くさいと感じることもあるので、省略できるならしたいな~と、つい思ってしまう。

相続関係説明図は、戸籍謄本の束を原本還付するための書類なので、戸籍謄本の束がないのであれば、そもそも作成する必要はないし、添付する必要もない。
が、法定相続情報証明書は戸籍の束と同一である、と考えれば、理屈上、相続関係説明図の添付はあってもいいか。
ただ、法定相続情報証明書は、たいていA4用紙1枚なので、その還付のために、手間をかけて相続関係説明図を作成する必要はあるのだろうか。

どうなんだろう…とは思うものの、どのみち、遺産分割協議書・印鑑証明書は、添付書類として法務局に提出(コピーを取って原本還付)するので、そのときにいったんスキャンするときもあるので、結局、遺産分割協議書・印鑑証明書もPDFにして添付してオンライン申請している。

 

敷地権が地上権の区分建物

連休明け。

とある不動産の登記事項証明書を見たら、敷地権が地上権の区分建物だった。
敷地権となる権利は、所有権・賃借権・地上権とは学んだものの、実際に見るのはほぼ所有権で、敷地権が賃借権や地上権のものって、ほとんど見た記憶がないし、そういった不動産の所有権移転登記を過去にしたことがあるかどうかも覚えていないくらいで、かなり久しぶりに見たかも。

敷地権が地上権であっても、その区分建物の相続等の所有権移転登記をするときには、建物については所有権移転分の、土地(敷地権)については地上権移転分の登録免許税を納める必要があるため、その土地と建物の評価額が必要となってくる。

区分建物の所有者(所有権登記名義人)は所有者なので、課税明細書は送られてくるし、評価証明書は取れるので、問題はない。

一方、敷地権の土地については、区分建物の所有者はその所有者ではなく、固定資産税を納めているわけではないので、区分建物所有者には、課税明細書は送られてこない。
そうすると、土地の評価証明書を取る必要が出てくるが、区分建物所有者がこの土地の評価証明書を取れるのか、という疑問が湧く。
そこで、管轄の役所に聞いてみたところ、この物件の場合、区分建物所有者は、土地について、評価証明書は取れないが、公課証明書なら取れるとのことだった。
公課証明書には、評価額も記載されるとのことで、そ
れなら、所有権移転登記にも使えるので、土地については、公課証明書を取ることとする。
相続人から、建物の評価証明書と土地の公課証明書の取得についての委任状をもらい、それぞれ取得した。
ちなみに、これは、法務局で発行依頼書をもらって、土地の評価証明書を取ってもいいようなケースかなとも思った。

相続による所有権移転の登録免許税の税率:4/1000
相続による地上権移転の登録免許税の税率:2/1000



 

相続登記と住所変更登記と検索用情報の申出

腹黒い」近現代史2 第二次大戦・独裁者の狡猾(共産主義に躍らされた世界のリーダーたち)(ビジネス社 福井義高、渡辺惣樹)、という本を読んだ。
第一次大戦後から第二次大戦間のいわゆる戦間記の歴史に関する、対談本。
今もそうだが、ヨーロッパというか大陸というか、あっちはグチャグチャで、なかなか分かりづらい。
敵の敵は味方だったり、遠交近攻だったり、深謀遠慮だったり、騙し騙され、なんでもありき。


AとB共有(令和7年4月21日より前)の不動産があり、Aが死亡して、BがA持分を相続することとなった。
Bの登記上の住所は、現在の住所と違う。
そんな場合。(まあ、ある話だ)

A→Bの相続登記申請、Bの検索用情報の申出(同時申出)
これはいいとして。
既に登記名義人になっているBの住所について、どうするか、となる。
来月4月1日から、所有権登記名義人の住所や氏名変更登記が義務化されるので、住所変更登記をする。
ただ、検索用情報の申出をすれば、義務化から免れる、とのことなので、住所変更登記をしないで、検索用情報の申出をしておいてもいいと思われる。
この場合、登記所から住所変更登記をしてもいいかを確認する連絡がくるので、変更登記をしてもいいと回答すると、登記所において、現在の住所に変更する登記をするとのこと。

というわけで、次の3パターンが考えられる。
住所変更登記をする。
住所変更登記をして、検索用情報の申出をする。
住所変更登記はしないで、検索用情報の申出をする。

住所変更登記には、原則、不動産1つにつき1,000円の登録免許税がかかる。
土地と建物各1つなら、登録免許税は2,000円。
検索用情報の申出には、登録免許税はない。


相続登記と印鑑証明書

使っていたメールソフトのAirmailで、メール作成時に改行していたものが、送信すると改行がされていないという不都合が生じてから、mac標準のメールを使っていたが、Airmailの方が使い勝手がいいなと思っていた。
不都合は直ったかな…と思い、Airmailでメールを試し送信してみたら、どうやら、この不都合が解消されていたようだ。
であれば、こちらに戻そう。
とはいえ、メールの方が軽いし早いし、Airmailだとなぜか表示されないメールもメールだと表示されたり、検索はメールのほうがいいといったこともある。

両方とも、複数アカウントには対応している。
ただ、一つのメールアドレスを、いろんなことに使っている場合、受信メールをフォルダを作って分けたいと思った場合、Airmailだとこれができるが、メールだとできない。
メールの場合だと、スマートメールボックスを作って分けることはできるが、これはちょっと違う。


被相続人が死亡し、相続人の間で遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成し、そこに相続人が署名し、実印を押印し、印鑑証明書を添付する。
相続登記を申請する場合も、遺産分割協議書への実印の押印と相続人の印鑑証明書が必要となる。
しかし、登記の実務上は、登記申請人となる相続人、つまり不動産を相続した相続人については、印鑑証明書を求められていない。
従って、この相続人については、遺産分割協議書に実印を押す必要はない、ということになる。

とはいっても、これはあくまでも登記の実務上のことで、相続人全員の実印押印と印鑑証明書があっての遺産分割協議書だと思うし、もし遺産分割協議書を預金等の相続手続でも使うならば、相続人全員の実印押印と印鑑証明書が必要になってくる場合もあるので、遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書も必要としておいた方がいいと思う。
それに、遺産分割協議書が上申書も兼ねている場合は、その遺産分割協議書には相続人全員の実印押印と印鑑証明書の添付は必要となる。
また、例えば、相続人A・B・Cといて、Aが不動産Xを相続し、Bが不動産Yを相続するという遺産分割協議書の場合は、不動産XについてはAの実印はいらないが不動産YについてはAの実印はいるし、不動産YについたはBの実印はいらないが不動産XについてはYの実印はいることになるので、結局、A・B・C全員の実印の押印と印鑑証明書が必要となる。

法定相続分による相続登記後の遺産分割協議

なんだかんだと、もう11月になった。
早いな。

法定相続分による相続登記は、各相続人から単独で申請ができる。
例えば、被相続人の法定相続人が子供A・B・Cの場合、Aが単独で、持分1/3A、持分1/3B、持分1/3C、という登記を申請できる。
但し、この場合、登記申請人となるAには、登記識別情報が発行されるが、申請人ではないB、Cには、登記識別情報は発行されないので、注意を要する。

その後に、ABC間で遺産分割協議が成立し、Aが不動産を取得したとする。
この場合、Aが単独で、年月日遺産分割を原因とする、所有権更正登記が申請できる。
令和5年3月28日の通達で、令和5年4月1日より、このように取り扱うこととなった。
それ以前は、この場合は、年月日遺産分割を原因とする、所有権移転登記をしていた。


法定相続分での相続登記がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、所有権の更正登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとする。
1 遺産の分割の協議または審判もしくは調停による所有権の取得に関する登記
2 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
3 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
4 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

この更正登記は、持分が増えるAを登記権利者、持分が減るBとCが登記義務者となるが、Aの単独申請が可能なため、BとCについては、登記識別情報や印鑑証明書といった書類がいらないこととなる。
但し、登記原因証明情報として、遺産分割協議書やそこに押印した相続人BとCの印鑑証明書は必要となる(Aはなくていい)。
また、更正登記は、登録免許税が、不動産一個につき1,000円である。
なので、従前の所有権移転登記の場合に比べれば、登録免許税の負担が減ることとなる。

なお、所有権更正登記は、原則として共同申請であり、登記義務者に登記識別情報や印鑑証明書が必要となる。

死者名義の相続登記と相続財産清算人

相続財産清算人とは、相続人がいることが明らかではない場合に、利害関係人が、家庭裁判所に申立てをすることにより選任される人のことである。
相続財産清算人は、被相続人の債権者等に債務を支払う等して清算をし、残った財産を国庫に帰属させることをする。
民法改正で、相続財産清算人となったが、それより前は、相続財産管理人と呼ばれていた。

例えば、成年被後見人が亡くなって、成年後見人が被後見人の財産を相続人に引継ぐために相続人を探したところ、相続人がいないので、成年後見人は相続財産清算人の申立て手続きをして、その相続財産清算人に財産を引継ぐ、ということもある。

(例)不動産の所有者(所有権登記名義人)Aが死亡し、Aの相続人はBだが、登記名義はAのままBは死亡したが、Bに相続人がいなかったために、相続財産清算人が選任された場合。

相続財産清算人が選任されたとき、不動産登記については、相続財産清算人が、登記名義を「亡○(被相続人の氏名)相続財産」とする所有権登記名義人氏名変更登記をすることとなる。
なお、被相続人につき、相続財産清算人の審判書上の最後の住所と登記上の住所が違えば、その変更も必要になるので、このときは、所有権登記名義人住所氏名変更登記となる。

本例も、不動産については、最終的に、「亡B相続財産」という登記名義にする必要がある。
そのためには、その前に、相続登記で亡B名義にする必要がある。
なので、相続財産清算人は、死者であるB名義とする相続登記と、所有権登記名義人を亡B相続財産とする所有権登記名義人氏名変更登記を申請することとなる。
普通は、この登記は連件で申請する。
そして、この相続登記については、申請書に根拠条文を記載して、非課税となる。


ところで、この場合、相続登記を「亡B相続財産」で申請はできないのだろうか。
Bは亡くなり、相続財産清算人が選任されたのだから、Bは亡B相続財産に名前が変わったことになり、これが今の亡Bである。
だから、相続登記は、亡B相続財産で申請できるのではないかと思った。
法務局に聞いてみたところ、通常どおり、亡Bの相続登記と亡B相続財産への氏名変更の登記をする、とのことだった。

死者名義とする相続登記

数次相続が起こっている場合、死者名義とする相続登記を申請する場合もある。

数次相続とは、被相続人が死亡して相続が発生したが、その手続き前に、その相続人が亡くなって相続が発生したような場合をいう。
例えば、不動産の所有者A(父)が亡くなり、その相続人がB(母)、C(長男)、D(二男)といるが、Aの相続登記をする前に、相続人Bが死亡し、Bについても相続が発生したような場合である。
Aの相続を一次相続、Bの相続を二次相続、という。

(例)
不動産の所有者A(祖父)で、死亡。
祖母はそれより前に死亡。
その子供B(長男)、C(二男)。
そして、Bが死亡し、その相続人D(Bの妻)とE(Bの長男、Aの孫)とする。
相続人全員の協議で、不動産をEが相続する、となった場合。

Eが不動産を相続するためには、EはAの相続人ではなくBの相続人であるため、AとBの相続人全員でいったん不動産を亡Bが相続し(一次相続)、亡Bの相続人全員でEが不動産を相続する(二次相続)するといった遺産分割協議をすることとなる。

時系列では、A→B(一次相続)、B→C(二次相続)なので、登記もそのように申請することになり、一次相続の登記申請名義は亡Bとなり、その申請人は、亡Bの相続人となる。
しかし、実務上では、本例のように、中間の相続人が単独になった場合(本例では、遺産分割協議により亡Bが不動産を相続することとなった)、AからCへの相続登記は可能となるので、通常は、この方法で申請されると思われる。
登記原因日付は、年月日A相続(Aの死亡日)、年月日相続(Bの死亡日)とする。

数次相続の場合、中間の相続人が単独になった場合は、最終の相続人に直接相続登記ができるのが、実務上の扱いである。
従って、中間の相続人が単独でなければ、これはできず、相続した順番に相続登記を申請していくこととなる。

不動産の所有者A死亡、その相続人がBとCで、遺産分割協議はされないまま、Bが死亡し、相続人はCのみとなった場合。
このときは、A→亡B(持分1/2)、C(持分1/2)の相続登記と亡B→Cの相続登記(B持分全部移転登記)をすることとなる。


租税特別措置法第84条の2の3第1項
個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和7年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするためにうける登記については、登録免許税を課さない。
この適用を受けるためには、申請書に、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載しなければならず、この記載がない場合は、免税措置は受けられないとのこと。

A→一次相続→B→二次相続→Cとなった場合、申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載して申請する場合は、土地のA→Bの相続登記には登録免許税が課せられない。
なので、土地について、数次相続が発生し、死者名義に相続登記をするときは、本条の適用を受け、登録免許税が非課税になる場合もあるので、注意を要する。
ただ、上記の例のように、中間の相続人が単独となった場合は、中間の相続登記は省略できるので(A→B→Cではなく、A→Cの登記をする)、このA→Cの相続登記の場合は、本条の適用はなく、登録免許税を納付する。

相続と抵当権抹消(抵当権抹消の書類がない)

所有権登記名義人である被相続人が生存中にローンを完済し、抵当権抹消登記をすることなく亡くなったが、ローン完済時に金融機関から送られてきたであろう抵当権抹消に関する書類がない場合。

この場合、相続登記と抵当権抹消登記をすることになるが、抵当権抹消登記に関する金融機関(抵当権者)の書類がないため、金融機関に、抵当権抹消書類に関する書類の再発行を依頼する。
相続人が再発行を依頼するときは、相続関係を証する戸籍謄本等が必要でしょう。
再発行を依頼した場合、解除証書等の登記原因証明情報や委任状は再発行してくれるが、抵当権の登記済証や登記識別情報は再発行はされない。
これは、いたしかたない。

抵当権抹消登記申請にあたり、紛失等により抵当権の登記済証や登記識別情報が添付できないときは、事前通知か資格者代理人の本人確認情報によることとなる。
金融機関は、事前通知と言ってくるので、急ぐ等の特別な事情がなければ、登記済証等は紛失で添付できないとして、抵当権抹消登記を申請をする。

事前通知の場合、委任状に登記義務者となる抵当権者の実印押印と印鑑証明書が必要になるが、会社等番号を提供すれば、この印鑑証明書は添付省略可能となるので、通常はこうなる。
とはいえ、委任状に押印された実印が、本当に実印かどうかを確認するために抵当権者の印鑑証明書は必要になるが、実印照合用の印鑑証明書のコピーも一緒に送ってくれる場合もある。
また、事前通知の場合は、登記申請後、法務局から抵当権者に連絡がいき、それに抵当権者が返答してから手続きが進んでいくので、通常よりは登記完了まで時間がかかる。
(住宅金融支援機構のサイトに、「融資金完済時お渡しした抵当権抹消に必要な書類がお手元にない方」というページがあるので、参考になるでしょう。)

抵当権抹消登記は、登記権利者を所有権登記名義人(被相続人)とし、登記義務者を抵当権者とする共同申請になるが、この場合の申請人(登記権利者)は誰になるか。
時系列は、抵当権抹消原因発生→相続発生なので、被相続人の相続人が、被相続人の登記申請義務を相続することとなるので、抵当権抹消登記の申請人は被相続人の相続人ということになり、その相続人全員あるいは一人から、抵当権抹消登記を申請することとなる。

登記申請の順番も、時系列からいえば、抵当権抹消登記、相続登記となろう。

しかし、抵当権抹消登記の申請人が所有権登記名義人ということは、不動産を相続した相続人が抵当権抹消登記の申請人になれる、ということでもある。
従って、自分の場合は、こういう場合でも、先に相続登記をして、その不動産を相続した相続人から抵当権抹消登記をする、というようにしている。