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読書感想

「現場記者50年の証言 現代日本経済史」(田村秀男著、ワニ・プラス)という本を読んだ。
著者は、産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員。
本書において、故中川昭一元財務大臣のことが書かれている、と聞いて、買って読んだ。

中川さんは、将来総理になると思っていた政治家だっただけに、亡くなったときいてショックだった。
ローマでのG7・中央銀行総裁会議における朦朧会見やその死に、なんか怪しい、裏に何かあるのではないか…と、疑っている。

2008年10月、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の高官G氏(日本語がある程度できる)が東京に来て、中川さんと会談することになり、中川さんは、その通訳を、財務省の役人ではなく、本書の著者に依頼をしたとのことです。
会談の場には、財務省の担当官はいれずに、中川さん、G氏、通訳の田村氏の3名しかいなかったのこと。
この場で、中川さんは、G氏に向かって、「『日本はいくら世界のためだ、黙ってカネを出せと米国から言われても、キャッシュ・ディスペンサー(現金自動支払機)になるつもりはない』とブッシュ大統領に伝えてくれ」と言ったとのことです。
このことは、初耳だった。

今の日本の問題の1つは、デフレ、政府・財務省による緊縮財政、プライマリーバランス黒字化、である。
誰かの得は誰かの損のとおり、政府の得(黒字)は国民の損(赤字)である。
これでは、所得が増えるわけはない。
政府が国民に経済制裁をしている、と言っていた人もいた。
しかも、今はコストプッシュインフレで、物価が上がっている。

自分は、何で政府・財務省が、デフレで緊縮財政を進めるのか、分からなかった。
政府や財務省がバカだと言う人もいるが、そうなのかな〜と思っていた。
その謎の答えが、本書に書かれてあった。

日本は、ドルを基軸とするグローバル金融に組み込まれ、債務国米国の金融覇権を維持するためには、日本の円が、日本のカネ余りが必要。
カネ余りをもたらすのは、90年代初めのバブル崩壊後の慢性デフレ。
デフレ圧力が続き、カネだけが増発されるが、それが国内で回らず、国際金融市場に回り、債務国米国を中心とする国際金融市場を支える。
従って、増税・緊縮財政路線は、現代のグローバル金融の循環システムに不可欠である。

つまり、日本政府・財務省は、アメリカ(ウォール街、国際金融資本)からの命令があるのか分からないが(あると思うが)、アメリカ、国際金融市場のために、緊縮財政をしているということになる。
結局この体制(構図)になるんだと、なんだか、腑に落ちた。

ようは、日本はアメリカの属国、キャッシュディスペンサーであり続ける、占領政策がまだ続いている、ということだ。
そして、この体制を維持するために(アメリカ、ウォール街から)選ばれるのが、日本の総理なのだろう。

著者は、だからこそ戦後レジームからの脱却、均衡財政主義の呪縛を解くことが必要、という。






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