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不在者財産管理人の遺産分割協議書の押印と印鑑証明書

10月に入って、さすがに朝晩はまあまあ涼しいが、日中はまだ暑い日が続く…。
歩いていると、汗だくになってしまう。
天気予報によれば、明日の東京の最高気温は33℃とのこと。


相続登記において、相続人の中に不在者がいて、弁護士さんが不在者財産管理人に選任されているとき、その不在者財産管理人から、遺産分割協議書への押印はどうすればよいか聞かれた。
この不在者財産管理人選任審判書では、不在者財産管理人の住所が事務所になっている。
なお、この不在者は、不動産を相続しない。


この場合、以下の三つが考えられる。
(1)個人の実印と印鑑証明書(市区町村長発行)、弁護士会発行の住所と事務所が併記されている証明書
(2)家庭裁判所に届けた印鑑と、その印鑑証明書(某家庭裁判所に聞いたら、不在者財産管理人として家庭裁判所に印鑑を届けて、その印鑑証明書の発行は可能とのこと。)
(3)弁護士さんの職印と弁護士会発行の職印証明書


自分としては、上記のうち、(1)または(2)であればよく、(3)は弁護士会が公的機関ではないのでダメだろう、と思っていたので、そう答えた。
が、念のため、法務局にも聞いてみようと思い、質問票を出した。
この場合、上記(1)または(2)で、(3)はダメという私見を付した。

ところが、法務局からの回答は、上記(1)、(2)、(3)いずれでもOKとのことだった。
(3)はダメだろうと思っていたので、(3)もOKとの回答は、意外だった。
不在者財産管理人には、上記(1)、(2)、(3)どれでもいいことを伝えた。

相続人の署名押印された遺産分割協議書を見たら、
その不在者財産管理人の押印と印鑑証明書は、職印と職印証明書だった。
それで相続登記を申請したら(申請書には相談済のメモを付して申請した)、無事に登記が終わった。
本当に、これでよかった。

ただ、今回はこれでよかったものの、どこか解せない気持ちもあり、また、他の法務局ではこれで登記申請してもダメな場合もあるかもしれないので、こういう事案の場合は、事前に、管轄法務局に問い合せたほうがいいかなと思う。
それか、不在者財産管理人に、家庭裁判所に印鑑を届出てもらうか。
個人的には、家庭裁判所の印鑑証明書が一番いいのかなとは思う。

不在者財産管理人が遺産分割協議を行う場合、家庭裁判所に権限外行為許可の申立てをする必要があり、相続登記には、その権限外行為許可の審判書が必要となる。

相続登記・最後の住所

相続登記で、依頼者が戸籍謄本等を既に全部取っている場合。
ようは、こちらで戸籍謄本等を取らない場合。

それでも、相続登記において、不足がちになる書類がある。
それは、「所有権登記名義人の登記上の住所と被相続人の本籍あるいは最後の住所が違う場合の、被相続人の除票や戸籍の(除)附票」である。
これは、登記において必要になる特有の書類なので、取りもれていても、まあ無理はない。

相続登記においては、相続する不動産の所有権登記名義人の住所・氏名と、被相続人の本籍・氏名が一致している必要がある(被相続人の同一性の確認のため)。
この場合の本籍は、死亡時の最後の本籍だけでなく、その途中の本籍でもよい。
つまり、被相続人の戸籍等を取っていき、その戸籍等に記載されている本籍のいずれかが登記上の住所と合致すれば、それで同一性の確認がとれる、ということになる。

登記上の住所と本籍が違う場合は、被相続人の住所で、同一性の確認をすることとなる。
そこで、除票(本籍記載)や戸籍の附票(戸籍の除附票、改製原附票
)を取って、被相続人の登記上の住所から最後の住所までの繋がりをつける必要がある。

また、被相続人名義の所有権に関する登記済証も、同一性確認のための書類となる。
但し、私の場合は、除票や戸籍の除附票等でも繋がりがつかないとか、保存期間経過で取れないような場合に、登記済証を用いている。

住所と本籍は、今は関連がなく、別物である。
なので、その別物同士を関連付けるための書類に、戸籍の附票というものがある。
また、住民票に本籍を記載すれば、住所と本籍の関連がつく。
この戸籍の附票や除票で、被相続人の登記上の住所と最後の住所の繋がりをつけていくこととなる。


今回は、所有権登記名義人の登記上の住所・氏名が、被相続人の本籍・氏名と一致していた。
なので、除票や戸籍の附票はいらないこととなる。

が、ふと思った。

相続関係説明図に被相続人の最後の住所を書くが、この場合、被相続人の除票や戸籍の附票等は必要ないので、最後の住所が分からないので書けない、となった。
とはいえ、相続関係説明図には、必ずしも、被相続人の最後の住所を書く必要はないので、今回は、被相続人の登記上の住所は書いたが、最後の住所を書かない相続関係説明図とした。
なお、被相続人の最後の住所と登記上の住所が違う場合、相続関係説明図には、その住所を併記すべき、とのことである。


昔は、本籍=住所だったが、今は違うので、登記上の住所=本籍、というケースは、そんなにないのではないかと思う(個人的感想)。
だからというわけではないが、私の方で戸籍謄本等も取る場合は、被相続人の戸籍謄本等と一緒に、戸籍の附票(除附票、改製原附票)も請求している。

この話題、過去に何度か書いていると思う。
それだけ、この点は、相続登記におけるポイントの一つなのである。

数次相続の相続登記

とある場所に座っていた。
隣に、若者二人連れが座っていて、話をしていた。
二人の会話が聞こえてくるので、聞くともなしに聞いていると、仕事の話かなと思っていたら、M1だのネタだのNSCだの…と聞こえてくる。
ああ、M1に出ようとしている芸人(漫才師)さんか…と思った。
それだけ。



数次相続とは、被相続人が死亡して相続(第1の相続)が発生して相続手続が終わらないうちに、その相続人が死亡して、その者にも相続(第2の相続)が発生したような場合をいう。
(更に、第2の相続手続が終わらないうちに第3の相続が発生、第4の相続が発生…と続く。)
第1の相続を一次相続、第2の相続を二次相続(第3以下同じ)、というので数次相続という。
被相続人Aの相続人がBとCで、Aの相続手続が終わらないうちに、Bが死亡したような場合のことをいう。
例えば、父・母・子供の家族で、父が死んで、父名義の不動産について相続登記をしないまま、母が亡くなったような場合。
ま、よくあるはなし。

この場合、被相続人Aの遺産分割協議は、Aの相続人のBとCとで行うこととなるが、Bは死亡していていないので、Bの相続人(DとEとする)が行うこととなる。
被相続人Aの相続人であるBの権利義務を、Bの死亡により、Bの相続人のDとEが承継する、ということになる。
つまり、被相続人Aの遺産分割協議は、CとDとEでする。
そして、被相続人Bの遺産分割協議は、DとEでする。
この場合の遺産分割協議書は、1つにまとめてもいいし、被相続人ごとに別々でもいい。

CとDとEの遺産分割協議で、被相続人Aの所有する不動産を、最終的に、Eが相続するとなった場合。
順番でいえば、CとDとEの遺産分割協議で、Aの不動産を亡Bが相続し、DとEの遺産分割協議で、その不動産をEが相続する、ということになる。
(EはAの直接的な相続人ではないので、最終的にEが不動産を相続する場合は、いったん亡Bに不動産を相続させる必要がある。)

A→亡B→Eと所有権が移転した場合、このとおり所有権移転登記を行うのが原則であるが、相続登記において、中間の相続が単独相続の場合、中間の登記を省略できる。
中間の相続が単独相続というのは、相続人が一人というだけではなく、遺産分割によって不動産を相続する相続人が一人となった場合も含む、というのが実務上の取り扱いである。
この場合、中間の相続登記を省略して、被相続人(所有権登記名義人)から、直接、現在の相続人(不動産を最終的に相続した相続人)に相続登記ができる。
本例の場合でいえば、A→亡Bへの相続登記が省略でき、A→Eの相続登記ができる、ということになる。

この場合の登記原因は
 平成○年○月○日 B相続(日付は被相続人Aの死亡日)
 令和元年○月○日 相続(日付は被相続人Bの死亡日)
となる。

当事者全員が成年被後見人の相続登記

当事者全員が、成年被後見人という相続登記があった。
亡くなった被相続人と相続人が全員成年被後見人であり、しかも、成年後見人は、全て専門職だった。
あり得なくもないのだが、実際直面すると、ちょっと驚く。

注意点というか、これはどうなんだ?ということ。

(1)代理権
成年後見だったので気にしなかった。
普通に、成年後見人から、相続登記の委任を受ければいい。

なお、もしこれが保佐・補助だったら、登記事項証明書で、保佐人・補助人に登記申請と登記識別情報通知受領の代理権、遺産分割協議の代理権があるかどうかを確認する必要がある。

(2)遺産分割協議書の押印
後見登記事項証明書上、専門職後見人の住所が事務所になっている場合の、遺産分割協議書の押印・印鑑証明書は、個人の実印・市区町村長発行の印鑑証明書になるのか、あるいは、東京家庭裁判所(同立川支部も)への届出印とその印鑑証明書でいいのか。

東京家裁では、成年後見人等の印鑑証明書の運用が始まったので、こういう疑問が生じるわけである。
なお、東京家裁の案内によれば、この家裁の印鑑証明書は、不動産登記用とのこと。

結論からいえば、今回は、事前に法務局に照会をし、「家庭裁判所への届出印の押印と家庭裁判所の発行するその印鑑証明書」でいいということになった。
(法務局への照会のときは、家裁の印鑑証明書でいいと考える、という私見を付した。)

遺産分割協議書において、家裁の印鑑証明書でいいかどうかについては、申請前に、法務局に確認しておいたほうがいいと思われる。
また、今回は、不動産登記のみだが、預貯金等の相続手続もある場合も、家裁の印鑑証明書でいいのかは不明である。


(3)被相続人の同一性の証明のための書類
今回、被相続人の戸籍、戸籍の附票(除附票、改製原附票)、除票を取っても、登記上の所有権登記名義人の住所と被相続人の最後の住所が一致しなかった。
登記済証もないという。
そうなると、「同一人であることの上申書」と「固定資産税の納税通知書」ということになるかなと思った。
今回の場合、幸いにも、被相続人とその配偶者(つまり相続人)が同じ成年後見人だったので、その成年後見人に納税通知書があるかどうかを聞いてみたら、成年後見人はそれを持っていたので、それをもらった。
そうしたら、あっ、と思った。

専門職が成年後見人になった場合、書類の送付先を、成年後見人の事務所にする。
なので、この納税通知書の宛先が成年後見人の住所になっていたのである。
納税通知書には、「成年後見人の事務所・被相続人の氏名・成年後見人の氏名」が記載されており、被相続人の住所の記載がない。
この場合でも、納税通知書でいいのだろうか。

そういうわけで、被相続人の同一性確認のための書類について、法務局に相談をした。
被相続人の成年後見人が、その配偶者(つまり相続人)の成年後見人もしている(ようは、夫婦で同じ人が成年後見人になっていた)、という事情も述べた。

この場合は、相続登記なので被相続人や相続人の戸籍謄本等を添付したうえで、「同一人であることの上申書、納税通知書、配偶者の後見登記事項証明書」ということになった。

遺産分割の調停調書に基づく相続登記

パソコンに、時計を表示するように設定している。
Macの場合、時計は、右上(画面上のメニューバーの右側)に表示される。
これは固定で、動かせない。
Windowsの場合、右下(画面下のタスクバーの右側(タスクトレイ))に表示される(初期設定)。
Windowsでは、タスクバーの位置を変えることができるので、時計の表示位置もそれに従って変わる。

相続人同士で遺産分割協議が整わない場合、家庭裁判所に、遺産分割調停を申立て、その調停が成立したら、調停調書ができあがる。
遺産分割の内容に、不動産の相続のことが決められていれば、その調停調書に基づいて、相続登記を行う。

遺産分割調停調書に基づく相続登記において必要な書類は、以下のとおり。

 遺産分割調停調書(謄本)
 不動産を相続する相続人の住民票
 不動産の評価証明書(登録免許税算出のため)
 委任状(司法書士に委任する場合)

この場合、被相続人の戸籍謄本等は不要。
但し、調停調書内に、被相続人の死亡年月日の記載がない場合は、その死亡を証する戸籍謄本等が必要となるが、通常、調停調書に被相続人の死亡年月日は記載される。
また、調停調書の被相続人の住所(最後の住所)・氏名と登記簿上の登記名義人の住所・氏名が一致していなければ、そのつながりをつける書面も必要となる。
例えば、被相続人の調停調書上の最後の住所と登記簿上の住所が違う場合、そのつながりをつける住民票や戸籍の附票等が必要となる。

では、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が違うとき、調停調書に、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が全て記載されていた場合はどうなるのだろうか。
住所のつながりをつける書面は必要になるのだろうか。

私は、必要になると思った。
判決等による登記における、登記義務者の住所変更登記と同じ考えによる。
が、知り合いに聞いてみたところ、この場合はいらないのではないか、ということだった。
理由を聞いたが、確かにそうとも思える。
というわけで、管轄の法務局に、この点について、照会をかけてみた。
私見は、「不要」とした。
そうしたら、法務局からの回答は、「調停調書だけでいい」とのことだった。

なお、これは本件におけるこの法務局での回答なので、同じようなケースの登記をされる場合は、申請する管轄の法務局に問合せをしてください。

相続登記の登録免許税の免税措置

平成30年度の税制改革により、相続による土地の所有権移転登記について、次の登録免許税の免税措置が設けられた。

法務局のサイト

(1)相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置(租税特別措置法第84条の2の3第1項)

個人が相続(相続人への遺贈も含む)により土地の所有権を取得した場合において、その個人がその土地について相続による所有権移転登記をする前に死亡したときは、平成30年4月1日から平成33年(2021年)3月31日までの間に、その個人をその土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

A死亡→B相続・死亡→C相続
A死亡してBがA名義の土地を相続したが、相続登記をしないままBが死亡し、Cがその土地を相続した場合。
A→Bの相続による所有権移転登記については、登録免許税は免税。
また、Bが相続登記をしないまま土地をCに売却したような場合も、A→Bの相続登記の登録免許税は免税。

免税措置を受ける場合は、登記申請書の登録免許税の箇所に、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する。

 

(2)市街化区域外の土地で市町村の行政目的のための相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣の指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置((租税特別措置法第84条の2の3第2項)

土地について相続(相続人への遺贈も含む)による所有権移転登記を受ける場合において、その土地が市街化区域外の土地であって、市町村の行政目的のため相続による土地の所有権移転登記の促進を特に図る必要があるものとして、法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地であるときは、平成30年11月15日(所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法の施行日)から平成33年(2021年)3月31日までの間に受けるその土地の相続による所有権移転登記については、登録免許税を課さない。
(注)この免税の施行は、平成30年11月15日から。

法務大臣が指定する土地については、各法務局・地方法務局のWebサイトに掲載されている。
法務大臣の指定する土地について、東京都のものを見たら、例えば、立川市の緑町の一部、泉町の一部、西砂町の一部等が指定されている。

免税措置を受ける場合は、登記申請書の登録免許税の箇所に、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載する。

 

今度、相続登記を申請する予定のもので、確か価額が10万円以下の土地があったよな…、と思い、資料を見返したら、その土地があった。
そして、その土地の管轄法務局のWebサイトを見てみたら、法務大臣の指定する土地についての掲載があったので、確認したら、これも該当する。
ということは、登記申請が11月15日以降になると、その土地についての登録免許税は免税になるのか。
だったら、登録免許税の額が変わるので、費用を算出し直さないと…。

父・母・子供(一人だけ)の相続

macOS10.14にバージョンアップして、PDFファイルをプレビューで開いて、PC-FaxでFaxしようとした。
そうしたら、それまでは、プルダウンでFax番号を入力する等Fax用の項目が表示されていたのだが、10.14では、それが表示されなくなった。
Word文書でやってみたら、こちらはちゃんとFax用の項目が表示されている。
なんだろう…。
全く分からないので、ヘルプに問い合せ。

問い合せたが、結論は、「よく分からん」。
Macって、こういう不都合が生じるのだが、ま、こういうことも含めてのMacだし。
PDFをAcrobatで開いてみたらどうか…と言われたが、持っていないので、後で試してみようかと。
ってことで、無料のAcrobatReaderをダウンロードして、PDFファイルを開いてみたら、なんと、Fax用の項目が表示された。
どういうこっちゃ。
ってことは、プレビューが原因なのかな…。

 

父・母・子供(一人)
父名義の不動産あり

父が亡くなったが、その相続人の母と子供との間で、特に遺産分割協議は何もしていなかった。
そうしたら、母が亡くなった。
相続人は、子供一人。
このとき、父名義の不動産を、直接、子供名義に相続できるか。

原則は、「できない」。
但し、母と子供との間で、子供が不動産を単独で相続する旨の協議をしていれば、可能。

以前は、一人遺産分割協議書で、これができた。
しかし、平成26年の東京高裁の判例で、これが否定された。
「所有権の登記名義人Aが死亡し、Aの法定相続人がB及びCのみである場合において、Aの遺産の分割の協議がされないままBが死亡し、Bの法定相続人がCのみであるときは、CはAの遺産の分割をする余地はないことから、CがA及びBの死後にAの遺産である不動産の共有持分を直接全て相続し、取得したことを内容とするCが作成した書面は、登記原因証明情報としての適格性を欠く。」

しかし、
「上記の場合において、BとCの間で、Cが単独でAの遺産を取得する旨のAの遺産の分割の協議が行われた後にBが死亡したときは、遺産の分割の協議は要式行為ではないことから、Bの生前にBとCの間で遺産分割協議書が作成されていなくても当該協議は有効であり、また、Cは当該協議の内容を明記してCがBの死後に作成した遺産分割協議証明書は、登記原因証明情報としての適格性を有し、これがCの印鑑証明書とともに提供されたときは、相続による所有権の移転の登記の申請に係る登記をすることができる。(先例)」

つまり、父が亡くなった後に、母と子供との間で、父名義の不動産について何も遺産分割協議をしていなかったら、父から子供に直接、所有権移転登記はできない。
しかし、母が生存中に、母と子供との間で、実際に子供に不動産を相続させる旨の遺産分割協議をしていたら、そのときに遺産分割協議書を作っていなくても、登記申請時に子供が、母と子供とが遺産分割協議をしたことを証する書面を提供すれば、直接子供に所有権移転登記ができる。

この違いによる、登記の違いは、次のとおり。
(1)父から子供に直接相続されないということは、父名義の不動産について母と子供が法定相続をし、そして、母の死亡により、母のその持分を子供が相続するということになる。
登記は、父死亡による相続による所有権移転登記と、母死亡による相続による所有権移転登記(母持分全部移転登記)の二段階となる。
① 父→母・子供:相続による所有権移転登記(母・子供の持分は法定相続分の各1/2)
② 母→子:相続による所有権移転登記(母持分全部移転登記)

(2)一方、父から子供へ直接移転登記ができる場合は
父→子供 相続による所有権移転登記

となる。

(1)の場合は、(2)と比べると、登録免許税が余計にかかる。
不動産の評価額が低ければいいだろうが、高いと、それだけでもけっこうかかる。

登録免許税
不動産の評価額を2000万円とする。
(1)①8万円、②4万円:合計12万円
(2)8万円

そうしたことから、実際に、母と子供で遺産分割協議をしたということにして、書類を用意して、登記申請をするケースもあるのかな…と思う。
仮に、子供が、「実際に母とそういう話をした、間違いない。」とか言ったら、どうするんだろう。
本当のことを知っているのは、この子供一人だけなのだし…。

これは、子供が一人のケースだが、子供が二人(C・D)いたらどうだろう。
この場合は、子供二人で協議すればいい。
CとDとで、不動産はCが相続するという遺産分割協議をすればよく、これで父からCに直接所有権移転登記ができる。

子供一人の時はできないけど、子供が二人以上いたらできるとは、何だか変な感じがしないでもない。
が、実務はこうなった。

住民票の保存期間

ニュースを見ていたら、こういうのがあった。
住民票の保存期間、5年→150年に 総務省が方針(朝日新聞)

不動産登記記録に記録される所有権登記名義人(所有者)の情報は、住所と氏名。
従って、その所有者を探す場合は、登記上の住所の住民票を取ることから始まる。
が、住民票の保存期間は除かれてから5年間なので、例えば、所有者が死亡してから5年以上経過している場合は、除票(除かれた住民票)が取れないかもしれない。
そうなると、もう、探せなくなる。
そういう不都合をなくすために、住民票の保存期間を延長しよう、ということのようだ。
なお、住民票の保存期間は、除かれてから5年間だが、自治体によっては、5年を経過しても保存されている場合もある。

住民票には、希望すれば本籍地の記載もできる。
なので、本籍地の記載ある住民票を取れば、その所有者の本籍地が分かるので、戸籍謄本等も取ることができる。
そうすれば、その所有者が亡くなっていれば、その相続人も判明する。

 

相続登記の手続きにおいて、「所有権登記名義人である被相続人の最後の住所を証する書面」が必要になる。
登記上の所有権登記名義人と、登記申請された被相続人の同一性を証するために。
登記は、所有者の住所と氏名しかされないため、その同一性は、住所と氏名で確認をする。

この書面の一つが除票。
なのだが、保存期間経過でこれが取得できず、そして、下に記載する戸籍の附票も取得できない場合、つまり、公的な証明書で直接同一性を証明できない場合は、不在住証明書や不在籍証明書や登記済証の写し(原本還付)を添付する等して、間接的に同一性を証明する。
但し、この場合の扱いは、管轄法務局によるので、管轄法務局に確認する必要がある。
そういう意味では、保存期間が長くなるのは、いいことだろう。

一方、「所有権登記名義人である被相続人の最後の住所を証する書面」には、「戸籍の附票」という書面もある。
戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(その戸籍に入籍してから)現在に至るまで(その戸籍から除籍されるまで)の住所が記載されているもののこと。

どちらかというと、私は、戸籍の附票を取ることの方が多い。
こちらの方が、その本籍地にいる期間だけだが、その期間の住所の履歴が記載されているので、助かるからである。
被相続人の登記上の住所と最後の住所が違う場合は、戸籍の附票が役立つ。

どのみち、被相続人の戸籍も取るのだから、併せて附票も請求すればいいだけである。
戸籍と除票を取る場合は、職務上請求書を2枚書かないといけないが、戸籍と附票を取る場合だと、職務上請求書は1枚で済む。
申請書の提出先(送付先)も、本籍地と住所の管轄が同じなら1ヶ所で済むが、これが別だと、2ヶ所となる。

この戸籍の附票の保存期間も、除かれてから5年間である。
なので、除票の保存期間を延ばすなら、戸籍の附票の保存期間も延ばして欲しい。

住民票も戸籍の附票も、除かれてから5年間が保存期間だが、戸籍の附票の場合、転籍や死亡等でその戸籍が除籍にならない限りは戸籍の附票も除かれないので、例えば、被相続人が死亡して5年以上経過していてもその配偶者が生存されている場合は、その被相続人の除票は保存期間経過して取れないかもしれないが、戸籍の附票は取れる。

便利な戸籍の附票だが、この最大の弱点は、本籍地が分からないと取れない、ということである。

相続登記の依頼を受ける。
そのとき、たいて、依頼者は、被相続人の戸籍謄本や自分の戸籍謄本等を取っていることが多い。
そういうときは、その戸籍謄本等を預かって、不足分を取る。
被相続人の除票もあって、被相続人の登記上の住所と除票上の住所が同じである、あるいは、もしそれが違っても、その除票で住所のつながりがつけば、それでいい。
そうでなければ、戸籍の附票をこちらで取る。
(なお、被相続人が、その戸籍における最後の一人で、被相続人の死亡によってその戸籍が除籍になっている場合は、戸籍の除附票となる。)

依頼者が、戸籍謄本等を全く取っておらず、被相続人の最後の住所や本籍地を知らない場合は、その依頼者の住所を聞いて本籍地記載のある住民票を取ったり、被相続人の登記上の住所の本籍地の記載のある住民票(除票)を取ったりして、戸籍謄本等を取っていく。

また、戸籍の附票は、相続人調査において、相続人の住所を特定するために利用する。
例えば、成年後見人等で、本人が亡くなった後に相続人調査をするとき。
本人の戸籍を取っていって、相続人の戸籍と戸籍の附票を取る。
そうすると、その相続人の住所が分かるので、そこ宛てに連絡をする。

 

ちなみに、戸籍の「ふひょう」の「附票」は、私の使っているIMEだと、漢字変換しても出てこない。
なので、単語登録をした。

戸籍謄本等の期限

ここ最近、比較的気温が高くない日が続いている。
エアコンをつけなくてもいいくらい。
が、天気予報によると、台風が過ぎた8月の終わり頃は、また猛暑になるとのこと。

 

以前、とある人から、「立川市って、めでたい地名が多いですね」と言われたことがある。
そう言われるまで、何とも思っていなかったが、確かに、「錦」町、「曙」町、「羽衣」町、「栄」町、「幸」町等と、おめでたい言葉やいい意味の言葉が多い。

 

相続登記の話をしていると、戸籍謄本等の期限はあるのか?と聞かれることがある。

相続登記における戸籍謄本等については、期限はない。
とはいえ、相続とは死亡により生じることなので、被相続人の死亡記載のある戸籍が必要になる、つまり、被相続人の最後の戸籍は、死亡後のものが必要となる。
それに、相続人の戸籍も、その相続人が亡くなった被相続人の相続人であることを証するものなので、被相続人の死亡後のものが必要になる。

平成30年8月1日死亡だったら、被相続人の最後の戸籍謄本は、同年の8月2日以降に取る。
ただ、死亡届を出してから死亡記載のある戸籍謄本が取れるようになるには、1週間くらいかかるようなので、実際は、死亡後1週間くらい経過してから、戸籍を取ることになる。
相続人の戸籍は、同年の8月2日以降に取る。

また、登録免許税を算出するための評価額は、登記をする年度のものが必要となる。
今だったら、平成30年度のものが必要になる。

遺産分割協議書に添付する印鑑証明書も、特に期限はない。

一方、銀行等の相続手続においては、期限があるところもあるようなので、関係各所に問い合せたほうがいいでしょう。

被相続人の同一性

なんだかんだと、12月になって…。

先日、朝、多摩川沿いに行ったら、富士山が凄いキレイに見えた。

建物(一戸建て(区分建物ではない))で、表題登記だけされていて、所有権保存登記がされていなかった。
表題部所有者は、氏名のみが記載され、住所が記載されていなかった。
表題部所有者が死亡し、相続が発生した。

所有権保存登記がされていなかったので、所有権保存登記を行う。
所有権保存登記は、表題部所有者の他、その相続人から申請できる。(不動産登記法74条1項1号)
というわけで、表題部所有者の相続人(遺産分割協議によって建物を相続した相続人)から、所有権保存登記を申請する。

 

登記上の名義人と被相続人の同一性は、登記上の住所・氏名と被相続人の戸籍謄本・戸籍の附票・除票等により、被相続人の住所・氏名が一致することで確認する。
しかし、今回、古い建物のようで、表題部所有者欄は名前のみで、住所の記載がないので、同一性の確認が取れない。

ところが、戸籍謄本等を見たら、建物の所在地と本籍地が一致する。
これなら同一性の確認が取れるのでいいかと思いつつ、念のため、管轄法務局に問合せる(東京ではない)。
そうしたら、評価証明書(納税者の住所氏名と所有者の住所氏名が記載されている)があるかと聞かれたので、あると返答したら、それも併せて添付すればいいとのことだった。
この評価証明書上の納税者・所有者とも、被相続人の名前と最後の住所が記載されていたが、これでいいとのこと。

また、土地については、所有者の登記上の住所と、被相続人の本籍地(途中の本籍地、最後の本籍地)、住所(途中の住所、最後の住所)が一致しない。
土地については、登記済証を預かった。
これについても問合せたら、これも、建物の場合と同様に、評価証明書(納税者の住所氏名と所有者の住所氏名が記載されている)も併せて添付するとのことだった。
登記済証は必要かと聞いたところ、不要とのことだった。