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成年後見と事務分掌(権限分掌)

成年後見人は、本人の財産管理と身上監護に関する権限を有する。
財産管理とは、本人の預貯金や不動産等の財産を管理することである。
身上監護とは、本人の福祉や医療に関する契約等を行うことであり、具体的には、特養等の施設の入居契約や変更契約、入院や退院に関する緒手続き、介護サービスに関する契約等である。
家庭裁判所のWebサイトに、保佐・補助の代理行為目録があるが、そこの身上保護関係というのが身上監護に関することである。


成年後見人は一人とは限らず、複数選任される場合がある。
成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる(民法859条の2第1項)。

というわけで、成年後見人が複数選任された場合は、全員がそれぞれ権限を有する場合、共同して権限を行使する場合、事務分掌される場合と、3つの場合があることになる。
個人的には、
事務分掌の経験はあるが、共同行使の経験はない。

家庭裁判所が、職権で複数後見人の事務分掌(権限分掌ともいう)をする場合は、その旨も審判され、また、登記もされる。
なので、後見登記事項証明書を見たら、事務分掌されているかどうかが分かる。

例えば、後見登記事項証明書で、成年後見人AとBが選任されていて、成年後見人の箇所に、「【事務の共同・分掌の定め】別紙目録記載のとおり」とあり、別紙で権限行使の定め目録があるような場合であれば、事務分掌されていると分かる。
そして、別紙権限行使の定め目録に、成年後見人がどういう権限を有しているか記載されている。
例えば、別紙権限行使の定め目録に、
1 成年後見人Aは、本人の身上監護に関する事務を分掌する。
2 成年後見人Bは、本人の財産管理に関する事務を分掌する。
とあれば、成年後見人Aは身上監護に関する権限を有し、成年後見人Bは本人の財産管理に関する権限を有する、ということが分かる。

これは、裏を返せば、成年後見人Aは財産管理に関する権限はなく、成年後見人Bは身上監護に関する権限はない、ということになる。
なので、事務分掌された場合は、関係者には、自分が成年後見人として、何ができ、何ができないかを説明しておく必要がある。

 


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