相続と抵当権抹消(抵当権抹消の書類がない)
所有権登記名義人である被相続人が生存中にローンを完済し、抵当権抹消登記をすることなく亡くなったが、ローン完済時に金融機関から送られてきたであろう抵当権抹消に関する書類がない場合。
この場合、相続登記と抵当権抹消登記をすることになるが、抵当権抹消登記に関する金融機関(抵当権者)の書類がないため、金融機関に、抵当権抹消書類に関する書類の再発行を依頼する。
相続人が再発行を依頼するときは、相続関係を証する戸籍謄本等が必要でしょう。
再発行を依頼した場合、解除証書等の登記原因証明情報や委任状は再発行してくれるが、抵当権の登記済証や登記識別情報は再発行はされない。
これは、いたしかたない。
抵当権抹消登記申請にあたり、紛失等により抵当権の登記済証や登記識別情報が添付できないときは、事前通知か資格者代理人の本人確認情報によることとなる。
金融機関は、事前通知と言ってくるので、急ぐ等の特別な事情がなければ、登記済証等は紛失で添付できないとして、抵当権抹消登記を申請をする。
事前通知の場合、委任状に登記義務者となる抵当権者の実印押印と印鑑証明書が必要になるが、会社等番号を提供すれば、この印鑑証明書は添付省略可能となるので、通常はこうなる。
とはいえ、委任状に押印された実印が、本当に実印かどうかを確認するために抵当権者の印鑑証明書は必要になるが、実印照合用の印鑑証明書のコピーも一緒に送ってくれる場合もある。
また、事前通知の場合は、登記申請後、法務局から抵当権者に連絡がいき、それに抵当権者が返答してから手続きが進んでいくので、通常よりは登記完了まで時間がかかる。
(住宅金融支援機構のサイトに、「融資金完済時お渡しした抵当権抹消に必要な書類がお手元にない方」というページがあるので、参考になるでしょう。)
抵当権抹消登記は、登記権利者を所有権登記名義人(被相続人)とし、登記義務者を抵当権者とする共同申請になるが、この場合の申請人(登記権利者)は誰になるか。
時系列は、抵当権抹消原因発生→相続発生なので、被相続人の相続人が、被相続人の登記申請義務を相続することとなるので、抵当権抹消登記の申請人は被相続人の相続人ということになり、その相続人全員あるいは一人から、抵当権抹消登記を申請することとなる。
登記申請の順番も、時系列からいえば、抵当権抹消登記、相続登記となろう。
しかし、抵当権抹消登記の申請人が所有権登記名義人ということは、不動産を相続した相続人が抵当権抹消登記の申請人になれる、ということでもある。
従って、自分の場合は、こういう場合でも、先に相続登記をして、その不動産を相続した相続人から抵当権抹消登記をする、というようにしている。
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