本年10月1日から、株式会社の登記について、登記事項につき株主総会の決議を要する場合(株主総会議事録が必要になる場合)には、申請書に、次の書面を添付しなければならない、とされました(商業登記規則第61条3項)。
【添付しなければならない書面】
総株主の議決権(当該決議において行使することができるのものに限る。以下同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であって、10名又はその有する議決権の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数のうちいずれか少ない人数の株主につき、次に掲げる事項を証する書面。(以下、「株主リスト」という。)
(1)氏名又は名称
(2)住所
(3)当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。)及び議決権の数
(4)当該株主のそれぞれが有する議決権の数の割合
なお、一の登記申請で、株主総会の決議を有する複数の登記すべき事項について申請される場合には、当該登記すべき事項ごとに上記(1)~(4)までの事項を証する書面の添付を要することになる。但し、決議ごとに添付を要する当該書面に記載すべき内容が一致するときは、その旨が注記された当該書面が1通添付されていれば足りる。
この書面は、株主総会に出席した株主に限らず、議決権を有しない株主を除き、当該株主総会において、当該決議事項につき議決権を行使することができた株主全ての中から対象となる株主が記載されている必要がある。
また、この書面は、代表取締役の作成する証明する書面であって、登記所に提出された印鑑が押印されたもの。
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改正の理由
株主総会議事録等を偽造して役員なりすまして役員の変更登記又は本人の承諾のなり取締役の就任登記申請を行った上で会社の財産を処分する等、商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を絶たず、商業登記の真実性の担保を図る必要がある。また、国際的にも、登記所において法人の所有者情報を把握して、法人の透明性を確保することにより、法人格の悪用を防止すべきであるとの要請がされている。
パブリックコメントの改正の概要
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というわけで、今年の10月1日から、株式会社において、株主総会議事録を添付する必要がある登記を申請するときは、株主総会議事録と株主リストが必要になる、ということになります。
役員の変更登記(取締役の就任や重任等)や本店移転登記(定款変更を伴う場合)、解散(株主総会の決議による解散)・清算人就任の登記等は、株主総会の決議が必要になりますので、こういった登記を申請するときは、株主総会議事録と株主リストが必要になってきます。
株主が10名以下であれば、その全員を記載することとなります。
一方、株主が11名以上のときは、議決権割合の3分の2に達するまでの株主で、議決権割合の多い上位10名を記載する、ということになります。
また、同じ定時株主総会で、取締役の重任決議と本店移転(定款変更)決議をして、いずれも全員一致で承認された場合、株主リストは、登記すべき事項ごと(取締役と本店)に必要となっているので、原則として、2通必要になってくるのでしょう。但し、両決議について株主リストに記載する内容が同じであれば、その旨を記載しておけば1通で足りる、とのことなので、この場合は、1通で足りるでしょう。
たぶん、こういう場合の方が多いと思われます。
書式のひな形は、そのうち、法務省のサイトにアップされるでしょう。
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