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月別アーカイブ: 4月 2019

当事者全員が成年被後見人の相続登記

当事者全員が、成年被後見人という相続登記があった。
亡くなった被相続人と相続人が全員成年被後見人であり、しかも、成年後見人は、全て専門職だった。
あり得なくもないのだが、実際直面すると、ちょっと驚く。

注意点というか、これはどうなんだ?ということ。

(1)代理権
成年後見だったので気にしなかった。
普通に、成年後見人から、相続登記の委任を受ければいい。

(2)遺産分割協議書の押印
後見登記事項証明書上、専門職後見人の住所が事務所になっている場合の、遺産分割協議書の押印・印鑑証明書は、個人の実印・市区町村長発行の印鑑証明書になるのか、あるいは、東京家庭裁判所(同立川支部も)への届出印とその印鑑証明書でいいのか。

東京家裁では、成年後見人等の印鑑証明書の運用が始まったので、こういう疑問が生じるわけである。
なお、東京家裁の案内によれば、この家裁の印鑑証明書は、不動産登記用とのこと。

結論からいえば、今回は、事前に法務局に照会をし、「家庭裁判所への届出印の押印と家庭裁判所の発行するその印鑑証明書」でいいということになった。
(法務局への照会のときは、家裁の印鑑証明書でいいと考える、という私見を付した。)

遺産分割協議書において、家裁の印鑑証明書でいいかどうかについては、申請前に、法務局に確認しておいたほうがいいと思われる。
また、今回は、不動産登記のみだが、預貯金等の相続手続もある場合も、家裁の印鑑証明書でいいのかは不明である。


(3)被相続人の同一性の証明のための書類
今回、被相続人の戸籍、戸籍の附票(除附票、改製原附票)、除票を取っても、登記上の所有権登記名義人の住所と被相続人の最後の住所が一致しなかった。
登記済証もないという。
そうなると、「同一人であることの上申書」と「固定資産税の納税通知書」ということになるかなと思った。
今回の場合、幸いにも、被相続人とその配偶者(つまり相続人)が同じ成年後見人だったので、その成年後見人に納税通知書があるかどうかを聞いてみたら、成年後見人はそれを持っていたので、それをもらった。
そうしたら、あっ、と思った。

専門職が成年後見人になった場合、書類の送付先を、成年後見人の事務所にする。
なので、この納税通知書の宛先が成年後見人の住所になっていたのである。
納税通知書には、「成年後見人の事務所・被相続人の氏名・成年後見人の氏名」が記載されており、被相続人の住所の記載がない。
この場合でも、納税通知書でいいのだろうか。

そういうわけで、被相続人の同一性確認のための書類について、法務局に相談をした。
被相続人の成年後見人が、その配偶者(つまり相続人)の成年後見人もしている(ようは、夫婦で同じ人が成年後見人になっていた)、という事情も述べた。

この場合は、相続登記なので被相続人や相続人の戸籍謄本等を添付したうえで、「同一人であることの上申書、納税通知書、配偶者の後見登記事項証明書」ということになった。

代表者が変わっていた〜抵当権抹消登記〜

法務局より電話。
「代表者が代わってまっせ」

先に申請した抵当権抹消登記につき、登記義務者(抵当権者)の代表者が代わっていた。
ということで、補正。

抵当権抹消登記の事由が発生したのが3月。
こちらに話があったのも3月。
登記申請は4月になってからした。

抵当権抹消登記に関する書類が、金融機関から債務者に送付される。
それから抵当権抹消登記を申請するので、どうしても、時間があいてしまう。
従って、その間に、抵当権者の代表者が代わることだってあろう。

不動産登記において、登記申請人が会社等の場合、会社法人等番号を提供すれば、資格証明書等の書類の添付を省略することができるようになった。
そのため、金融機関から送付されてくる抵当権抹消書類の中に、抵当権者の資格証明書や履歴事項証明書はなくなった。

抵当権者の商号・本店・代表者については、委任状に記載があるが、司法書士としては、登記申請書に代表者の記載も必要でもあるので、資格証明書等で確認したい。
現在の抵当権者の商号や本店が、抵当権設定登記時のものから変わっている場合は、なおさらである。
そういうわけで、抵当権者の資格証明書が送られていなければ、インタ-ネットで登記情報を取って確認することとなる。
なお、これは有料なので、依頼者にかかることとなる。

今回、抵当権者の登記情報を取ったのが、3月末。
それから登記申請をするまで、10日ほど時間があいたのだが、その間に、抵当権者の登記情報は取っていなかった。
正直、10日間くらしかあいていないし、その間に代表者が代わるとも思っていなかったので、「代表者が変わった」と聞いて、ビックリしたのだが、再度登記情報を取って見たら、4/1付けで新しい代表取締役が就任していた。
ああ、年度が変わる時期にあわせたのか…。


今回の抵当権抹消登記における変更前の代表者名の書類は、以下のとおり。
 登記申請書(オンラインなので申請情報)
 登記原因証明情報
 委任状(登記権利者、登記義務者)

登記原因証明情報については、抵当権抹消登記の事由が発生したのは3月で、その日付が記載されており、その時点では代表者は変わっていないので、これは問題なし。

登記義務者(抵当権者)の委任状については、抵当権者が作成したものだが、委任者は変更前の代表者で、最初から3月の日付が記載されていたので、これは問題なし。
(日付が空欄で、申請前にこちらで4月と記載していたら、アウトだった。)
(ちなみに、抵当権者の委任状の日付が空欄で交付され、申請前に司法書士の方で日付を記載する方が多いかも。)

登記義務者の委任状については、私の方で作ったが、旧代表者名で作ってしまっていたため、補正となった。
捨印をいただいていたので、修正。

登記申請情報については、補正コメントで、
(1)代表者の氏名の訂正
(2)代表者の代表権が消失したこと、代表権を有していた期間を記載
とのことだった。
オンラインで申請したので、補正もオンライン。
ということで、補正コメントに従って、補正をした。

こういうこともあるんだと…。


抵当権抹消登記委任時の代表者(旧代表者)と登記申請時の代表者(新代表者)が違う場合、抵当権抹消登記手続きはどうなるか。

この場合、不動産登記法の規定により、旧代表者の会社の代表権は消滅しているが、「登記申請代理権は消滅しない」とされているので、旧代表者の委任状等を添付して、抵当権抹消登記を申請することができる。
そして、この場合、申請書に、旧代表者の代表権が消滅したこと、旧代表者が代表権を有していた期間を記載する。
なので、旧代表者が代表者であることが分かる閉鎖登記簿謄本や履歴事項証明書が必要となるが、登記申請時に会社法人等番号を提供すればこれが省略できる場合であれば、省略できる(今回は、省略できた)。
また、今回は、登記申請情報の登記義務者(抵当権者)の代表者の氏名を新代表者に補正した。
が、旧代表者を記載するという見解もあるようだ。

不動産登記の郵送

不動産登記は、郵送で申請できる。
オンライン申請のときの添付書類も、法務局に郵送によって提出できる。
また、登記識別情報、登記完了証、原本還付書類等、登記完了後に受取る書類がある場合、これも郵送で受け取ることができる。
申請時や添付書類送付時に、返信用封筒(切手を封筒に貼るか、切手を入れておく)も同封する。

というわけで、不動産登記の申請書、添付書類を、法務局に郵送する、そして登記識別情報等を返送してもらうわけだが、何で送るか、である。
細かい話だが。

郵送申請は、「書留郵便」となっている。
送付の封筒には、「不動産登記申請書在中」と記載する。
返信は、書留郵便か信書便となっている。
なお、本人申請の場合、本人が自然人の時は、本人限定受取郵便となるとのこと。
不動産登記の申請様式について(法務局のサイト)
不動産登記に関するよくある質問(法務局のサイト)
Q1 郵送で登記申請後、登記識別情報の交付や原本還付書類の返還を請求するには、送付の方法をどのようにすればいいですか。


ところで、レターパックプラス(赤色、510円)、レターパックライト(青色、360円)というものがある。
結構重宝するものである。
このレターパックのうち、レターパックプラスは、不動産登記において使用できる。
レターパックプラスは直接手渡しで受領印が必要だが、レターパックライトは受取り先の郵便受けに投函され、直接手渡しではない。
不動産登記関係の書類は、受取りが必要なので、ライトは使えない。

書留とレターパックプラスの違い
(1)書留は持っている封筒で出せるが、レターパックプラスは専用の封筒なので、郵便局に買いに行かなければならない。
(2)書留には保証があるが、レターパックプラスにはない。
(3)レターパックプラスは、速達の早さらしい。書留の場合、速達は別料金。
(4)書留は郵便局の窓口に出しに行かなければならないが、レターパックプラスはポスト投函可能。
(5)書留は送付物の重さによって料金が変わるが、レターパックプラスは4キロまで一律510円。

事務作業的違い
(1)レターパックプラスは、4キロまでの制限があるが、料金が一律なので、送料の計算がしやすい(不動産登記申請で4キロを超えることは、まずないでしょう)。
(2)返信を書留にする場合、返信用の切手を用意しておかないといけないが、レターパックプラスは、その封筒を入れておくだけでいい。
(返信時の送料が不明なため、送料を予想して切手を返信用封筒に貼っておいたり、返信用封筒には貼らずに、切手を多めに入れておいたりする。)

私はどうしているかというと、書留だったり、レターパックプラスだったりと、送るものによって、使い分けている。
保証がついているので、書留を使っているが、レターパックプラスも使う。



書留・簡易書留とレターパックプラスは、共に、受取りは直接手渡しで受領印が必要。

レターパックプラスは、速達並の早さらしい。
確認したことはないが、その早さは実感したことはある。
例えば、夜にレターパックプラスが配達されてきたので、受け取って消印を見たら、その日になっていた。
つまり、レターパックプラスを出したその日に、事務所に届いたのである。
おそらく、立川市内の郵便局で、その日の午前中とか昼間くらいにレターパックプラスを窓口で出したら、その日の夜に事務所に届くようである。
そんなくらいの早さ。

レターパックプラスは、ポストに投函でもいいので、この点は、なかなか窓口に行けない場合にいい。
しかし、私は、レタ-パックでも、窓口で出すようにしている。
というのも、レターパックプラスをポスト投函したが配達されなかったという事故が起こったことがあると聞いたので。

近所の郵便局が閉まっていて、窓口で出せないこともある。
しかし、幸い、立川駅前には立川郵便局という本局があり、近くの郵便局が閉まっている時間帯でも、本局はほとんど開いているので、そういうときは、本局まで出しにいく。
あるいは、翌日の朝に、近所の郵便局に出しに行く。

普通郵便なら、ポスト投函でもいいが、ポストごとによって回収時間が異なるため、これもなるべく窓口で出すようにしている。
立川郵便局の本局前のポストは、回収時間が多いので、近くの郵便局が閉まっている時間帯のときは、本局前のポストにまで出しに行く。
あるいは、翌日の朝に、近所の郵便局に出しに行く。

夜間の郵便局の本局、まあまあ混んでいる…。

新元号・「令和」

本日、新元号が発表された
「令和」とのこと。
その中継と安倍首相の談話をネットでみていた。
なかなか繋がらなかったが。

典拠はどこだろうと思って聞いていたら、「万葉集」の梅の歌の序文とのこと。
なんと、万葉集。
確か、これまでの元号の典拠は四書五経等の漢籍だったので、典拠が我が国の書物なのは初めてではないか…と思った。
そう思っていたら、安倍首相記者会見でこのことの質疑応答があり、国書典拠は初と言っていた。
ただ、ネットで見ていたら、万葉集のこの序文の元は、「文選」という漢籍らしい。

ところで、報道を見ていると、これまでの元号の典拠を「中国の古典」と言っているが、これは正確ではない。
中国(中華人民共和国)は、1949年にできた新しい国。
周や漢は、中国ではない。
一方、我が国は、万葉集が作られた頃も日本で、ずっと日本が続いている。

早速、パソコンのIMEに「令和」を登録した。
5/1に改元となる。

そんな4月1日は、新年度の始まりの日。
平成31年度、2019年度。
5/1以降は、令和初年度ともなる。

所有権移転登記の登録免許税は、不動産の評価額に基づいて計算をする。
この評価額は、申請する「年度」のものとなる。
従って、本日から所有権移転登記を申請する場合は、平成31年度の評価額に基づいて登録免許税を算出することとなる(平成31年度の評価証明書を取ることとなる)。