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月別アーカイブ: 3月 2019

抵当権抹消登記

抵当権抹消登記で抵当権者(金融機関)の商号や本店が変わっている場合。

家を購入時、住宅ローンで融資を受け、その家に抵当権の設定登記をする。
そのローンを完済する。
そうすると、金融機関から、「抵当権抹消登記に関する書類」が、債務者宛てに送られてくる。
債務者は、それに基づき、抵当権抹消登記を行う。

抵当権抹消登記の依頼を受けるときは、その書類を持ってきてもらう。
金融機関から送られてきた書類と不動産の登記情報を取って確認すると、抵当権者である金融機関の商号や本店が、抵当権を設定したときと変わっている場合がある。
この変更の理由は、商号変更、本店移転とする(合併だと、違う話になる場合もあるので)。

抵当権抹消登記を申請するとき、抵当権者の商号や本店が変わっていたら、その変わったことを証する抵当権者の履歴事項証明書等を添付する。
また、そもそも、法人が登記申請人となるときは、法人の代表者事項証明書等を添付する。

しかし、法改正で、法人の場合は、登記申請時に「会社法人等番号」を提供すれば、原則として、法人の代表者事項証明書や履歴事項証明書等の添付を省略できるようになった。

つまり、抵当権抹消登記を申請するとき、会社法人等番号を提供すれば、抵当権者の商号や本店が変更していても、履歴事項証明書や代表者事項証明書は不要となったのである。

そうなってから、金融機関である抵当権者から送られてくる書類の中には、会社法人等番号が書かれた書類は入っているが、抵当権者の代表者事項証明書や履歴事項証明書はなくなった。

抵当権者としては、それでいいのだろう。
が、登記の委任を受けた司法書士としては、そうはいかない。
抵当権者の登記情報にアクセスして、本店や商号を確認する必要がある(ついでに、申請書に記載する代表取締役の名前も確認する)。

それと、細かい話。
抵当権抹消書類は、金融機関から債務者に送られる。
が、抵当権抹消登記の当事者は、抵当権設定者(抵当権が設定された不動産の所有者)と抵当権者である。
通常は、債務者=抵当権設定者であることが多いのでいいが、たまに、物上保証のときがある。
債務者が抵当権設定者でなければ、登記上は、債務者は関係ない。
こういう場合は、その物上保証人となった抵当権設定者から、抵当権抹消登記の委任を受けることとなる。

成年後見と遺産分割協議書(2)

相続登記において、成年後見人が、遺産分割協議書に署名押印(印鑑証明書添付)する場合。
成年後見人の押印と印鑑証明書は、家庭裁判所に届けた印鑑の押印とその家庭裁判所の発行する印鑑証明書でいいか、ということを先日書いた。

このことについて、某法務局に、質問をした。
私見は、「家庭裁判所に届けた印鑑の押印と、家庭裁判所の発行する印鑑証明書で可」というものである。

その法務局からは、「それでいい」ということだった。
というわけで、今後はそうしていこうと思う。

しかし、遺産分割協議書に不動産の他、例えば預貯金について記載されていた場合、預貯金等の相続手続でも家裁の印鑑証明書でいいかは、確認していないので不明である。

家裁の注意事項によると、この家裁の発行する印鑑証明書は、不動産登記用、東京法務局管内限定とのことなので、東京以外の法務局に登記申請するときは、事前に確認することとなる。

この家裁の印鑑証明書でいうところの不動産登記とは、売買による所有権移転登記等、つまり、登記義務者として印鑑証明書を添付する場合のものと、思っていた。
なので、相続登記、つまり、遺産分割協議書の印鑑証明書とは趣旨が違うのかなと思っていた。
しかし、遺産分割協議書の印鑑証明書について規定がなく、また、家庭裁判所という官公署が証明するのだから、問題はないのだろうと思っていた。

戸籍謄本を取る

立川駅周辺を歩いていたら、大学の卒業式だったんだなという服装の人をみかける。
多摩モノレール沿線には、いくつか大学があるから、その卒業生だろうか。
これから「追いコン」かな、と思ったり。
っつか、自分の頃が懐かしい。

学位授与式(卒業式)に出て。
自分のときは、卒業式の会場は日本武道館だった。
そこからキャンパスに戻って、大学から学位記をいただいて。
その後、所属サークルやゼミの追いコンに出て。
終わったら、解散。
それぞれの道へと…。

もう3月も終わり。

相続のとき、被相続人の出生からの戸籍を取って、相続人を特定していく。
戸籍謄本等の管轄は、本籍地のある自治体なので、そこ宛てに請求をする。
市町村合併等が繰り返されているので、本籍地が今はなき市町村町の場合、それが今はどこの市町村町になるか確認をする必要がある。
今はネットがあって、検索すれば分かるので、大変助かる。
以前は、市町村便覧みたいなのがあって、それを見て確認し、そして、念のため、その自治体に電話して、本籍地があっているかどうか確認していた。

現行の民法上、法定相続人は、次のとおり。
(1)子供・配偶者(代襲相続で、孫・ひ孫…)
(2)親・配偶者
(3)兄弟姉妹・配偶者(代襲相続は、その子供(甥・姪)まで)

被相続人の死亡年月日に注意。
被相続人の相続人や法定相続分は、死亡時に施行されている民法に基づくので。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得する。
それで、配偶者や、被相続人の子供(養子も)がいたら、それで相続人確定。
認知している子供もいる場合があるので、注意。
子供が先に死んでいたら、孫の戸籍謄本等を取る。

養子の場合、養子縁組日にも注意。
というのも、養子縁組前にその養子に子供がいた場合、養子が被相続人より先に死んでいても、その養子の子は代襲相続人ではないので。

被相続人に子供がいない場合、両親の戸籍を取っていく。
それで両親が生きていたら、相続人確定。
両親が死んでいたら、年齢にもよるが、祖父母まで遡る。

子供も両親もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹の戸籍謄本等を取っていく。
被相続人の兄弟姉妹とは、被相続人の父と母の子供ということなので、もし両親が結婚する前に他の人と結婚していて子供がいたら、その子供も相続人になる。|
なので、両親の出生からの戸籍謄本を取って、両親の子供を探していくこととなる。
兄弟姉妹が先に死んでいたら、その子供が代襲相続人になるので、そも子供の戸籍謄本等も取る。

戸籍謄本は、郵送で請求することが多い。
このとき、戸籍謄本等の手数料として、郵便局で定額小為替を買って、それも入れて送る。
郵送による戸籍謄本等の請求方法については、各自治体のWebサイトで確認できる。
本籍地がずっと同じなら一度の請求で済むが、転籍を繰り返していると、その都度、その自治体に請求しないとならない。

そんな感じで、戸籍謄本等を取っていく。






法定相続情報証明〜数次相続

成年後見人には「親族が望ましい」 最高裁、考え方示す
というニュースがあった。

自分も成年後見人等になっているが、自分の場合、被後見人等に親族がいても、高齢、疎遠、病気、遠方に居住等といった理由から親族が支援できないような事情があるようなときに、成年後見人になっている感じである(後見信託のための後見人は除く)。


被相続人Aさんの法定相続情報証明の手続きを行った。
それで、Aさんの相続手続を進めようとしていた。
そうしたら、相続人のうちのBさんが亡くなり、Bさんについても相続が発生した。
いわゆる数次相続であある。
このとき、被相続人Aさんの法定相続情報証明は、どうなるのだろうか。
B死亡として、再度、やり直す必要があるのだろうか。

数次相続の場合、法定相続情報証明は、被相続人ごととなる。
また、法定相続情報証明は、死亡時の相続人を表示するものとのことである。
そうすると、A死亡時にBは生存しているので、Aの法定相続情報証明にはB死亡の記載は入らない。
つまり、Aの法定相続情報証明や、このままでよく、やり直す必要はない。
そして、Bが死亡したので、新たにBの法定相続情報証明の手続きをする。

Aの法定相続情報証明書とBの法定相続情報証明書で、Aの相続手続を行うこととなる。

成年後見と遺産分割協議書

普段リュックを使っている。
リュックは背負うものだが、例えば、電車の中では、特に混雑時には、背負わずに、前に抱えている。
ちなみに、海外の話ということだが、リュックを背負っていると、後ろからリュックをガッとひったくられるので、安全上の理由から、リュックは前に抱えるほうがいい、ということを聞いたことがある。
それはさておき…

電車を降りたら、前に抱えていたリュックを背負い直すのだが、これが、結構邪魔というかめんどい。
先日、ネットを見ていたら、学天即という漫才コンビの奥田さんが、前に抱えているリュック後ろに直す方法を紹介していた。
これ、いいかも、と思い、早速、自分でも実践してみたが、確かにこれはいい。
いちいち、リュックおろして背負い直すことをしなくていいので、楽だ。
その方法はというと…。

前に抱えているリュックの肩ひもの内側で、両手を交差させ、そのまま両手をあげる。

被相続人が亡くなり、相続人間で遺産分割協議をして、遺産分割協議書を作成するとき。
遺産分割協議書には、相続人の実印と印鑑証明書(市区町村長発行のもの)が必要となる。
相続人の中に、成年被後見人がいる場合は、その成年後見人が遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に署名・押印し、印鑑証明書を添付する。
相続登記を申請する場合は、申請書に遺産分割協議書と印鑑証明書を添付する。
なお、保佐人・補助人の場合は、遺産分割協議に関する代理権が付与されていれば、保佐人・補助人として、遺産分割協議をすることとなる。

遺産分割協議書の印鑑証明書というのは、法令上根拠のあるものではなく、その協議書の真正担保のために、要求されているものである。
一方、例えば、売買による所有権移転登記のような場合、登記義務者の印鑑証明書が必要だが、これは、法令(不動産登記令16条2項)上、要求されている。

東京家庭裁判所において、家庭裁判所(の書記官)が発行する成年後見人の印鑑証明書という制度が、昨年から始まった。
これは、事務所を住所としている専門職用で、また、不動産登記用だという。

となると、遺産分割協議書に、この家庭裁判所の印鑑証明書を使用してもいいのだろうか。
遺産分割協議書に成年後見人が家庭裁判所に届けた印鑑を押印し、家庭裁判所の印鑑証明書を添付して相続登記を申請しても大丈夫なのだろうか。
もし、遺産分割協議書に、不動産以外の財産、例えば、預貯金のことについても記載されている場合、家庭裁判所の印鑑証明書でも預貯金の相続手続に使用できるのだろうか。

遺産分割協議書の印鑑証明書については、法令上の根拠がないので、家庭裁判所への届出印が押印と家庭裁判所の発行する印鑑証明書で、相続登記は大丈夫だと、個人的には考えている。
機会があったら、法務局にも聞いてみようと思う。