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日別アーカイブ: 2017年6月22日

法定相続情報制度の実務的運用

法定相続情報証明制度の勉強会があったので、参加した。
ちょっと疑問に思っていたことがあったので、いい機会だと思い、質問してみた。

それは何かというと、遺言執行者の場合。
遺言執行者は相続人の代理人とみなす(民法第1015条)ので、遺言執行者は相続人の法定代理人として、この制度(法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出)の代理人となれると、私は思った。
ただ、そうすると、申出人は誰になるのだろうという疑問が生じた。
遺言執行者は相続人全員の代理人とされることから、申出人は相続人全員になるのだろうか…と思っていた。
添付書類は、遺言書だろう。
そんなことを、聞いてみた。

すると、回答は、こんな感じだった。
本手続においては、遺言執行者(司法書士がなる)は法定代理人ではない。

通達の中に、法定代理人として、親権者または未成年後見人、成年後見人または代理権のある保佐人・補助人、不在者財産管理人・相続財産管理人と記載があり、遺言執行者の記載はない。
そういうことも理由の一つみたい。

というわけで、遺言執行者は法定代理人としてこの申出を代理できない、ということであった。

また、聞いていて、へぇ〜っていうことがあった。
それは、こういうことだった。
この手続においては、被相続人の戸籍謄本等は、出生からのものが必要である。
但し、相続登記の申請と同時に申出された場合に限り、登記官の判断による。

つまり、法定相続情報の場合、原則として、被相続人の出生からの戸籍謄本等が必要だが、相続登記と同時に申出された場合に限り、出生からの戸籍がなくてもいいが、その場合どうするかは、登記官が判断をする、とのこと。
なお、これは、現時点での扱い。

相続登記において、被相続人の戸籍謄本等は、必ずしも出生からのものが必要ではない。
生殖年齢くらいのものからでいいとされている。
私は、12歳くらいからと習ったので、そういう基準でしている。
とはいえ、出生から全て取るようにしている。
ただ、例えば、戸籍等を遡っていって、3歳くらいまで到達して、その前の戸籍を取るにはまた申請が必要だな〜とかなった場合は、「3歳まで遡ったし、これでいいよな」と思って、たぶん、ここで戸籍等を追いかけるのをやめる。

この前提となるのは、相続登記の申請と、法定相続情報の申出は、同時にしてもいいということ。
その場合、共通する書類(戸籍謄本等)は1通でかまわないが、そうでない書類は、それぞれに添付をする。
なお、相続登記の申請と法定相続情報の申出を同時に申請する場合は、両方あることを分かるようにしておいた方がいいようである。