後見制度支援信託〜三菱UFJ信託銀行の場合〜
後見制度支援信託を提供している金融機関は、いまのところ、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行、千葉銀行。
どこの金融機関を利用するかは、親族後見人と相談して決めることとなるが、当方にて関与した限りだと、利用しているのは、三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行とみずほ信託銀行。
そのうち、三菱東京UFJ銀行と三井住友信託銀行の利用がほとんどで、数えたところ、両者の利用はほぼ同数だった。
三菱UFJ信託銀行を選ぶ理由は、信託契約時の報酬がゼロ(但し、最低信託額は1000万円)ということと、手続きが全て郵送だからということ。
親族後見人が、三井住友信託銀行やみずほ信託銀行の窓口に行けるような場合ならいいが、これらの信託銀行の支店は、都市銀行やゆうちょ銀行等に比べると数が少ないので、親族後見人にとって行きづらい場合がある。
また、銀行の窓口に行く時間がなかなかとれない人もいる。
そういう人にとっては、手続きが全て郵送とういうのは、助かる。
三菱UFJ信託銀行の後見制度支援信託を利用する場合の流れは、今のところ、こんな感じ。
(1)信託のために選任された専門職後見人が家庭裁判所に信託に関する報告書を提出。
(2)家庭裁判所は、専門職後見人に指示書を出す。
(3)指示書を受領した専門職後見人は、三菱UFJ信託銀行に電話をする。
(4)三菱UFJ信託銀行から専門職後見人宛てに、信託の申込書類一式が送付されてくる。
(5)専門職後見人は、送られてきた申込書等に必要事項を記載して、必要書類と一緒に、三菱UFJ信託銀行に送付する。
必要な書類は、家裁の指示書謄本(原本)、後見登記事項証明書(原本)と専門職後見人の本人確認書類。
指示書謄本は原本提出で返ってこない。
(6) 三菱UFJ信託銀行から専門職後見人宛てに、契約書(2通)と後見登記事項証明書の原本と振込口座の案内が送付されてくる。
(7)専門職後見人は、契約書に署名押印し、三菱UFJ信託銀行に2通とも返送する。
(8)三菱UFJ信託銀行の指定口座に、信託額を振込む。
信託の場合、通常、親族後見人が本人の財産を管理しているので、親族後見人から三菱UFJ信託銀行に振込んでもらうこととなる。
その場合、専門職後見人は、親族後見人に連絡して、三菱UFJ信託銀行に振込んでもらうように伝える。
あるいは、親族後見人が振込みに行くのに専門職後見人が同行する。
もし、専門職後見人が本人の口座を管理しているときは、専門職後見人が振込むことになる。
私の場合は、親族後見人と同行して振込みに行くことが多い。
振り込みが終わったら、三菱UFJ信託銀行に、振込み完了の連絡をする。
別にしなくてもいいが、私は、している。
(9)三菱UFJ信託銀行から専門職後見人宛てに、後見制度支援信託契約書、信託の通帳、後見人変更の書類等が送付される。
(10)専門職後見人は、家庭裁判所に対して、信託契約締結の報告(契約書や通帳の写しを提出)する。
(11)専門職後見人は、家庭裁判所に対して、後見人の辞任許可の申立て、報酬付与の申立てをする。
信託契約の報告と辞任許可と報酬付与は、たいてい、同時にする。
(12)家庭裁判所から、辞任許可の審判書と報酬付与の審判書が届く。
家庭裁判所の書記官は、東京法務局に、後見人辞任の登記の嘱託をする。
(13)辞任登記完了後、家庭裁判所から、余った切手が戻ってくる。
これにより、辞任の登記が終わったことが分かる。
(14)専門職後見人は、親族後見人に連絡し、親族後見人から報酬を受領し、親族後見人に対して信託契約書等を引継ぐ。
このとき、親族後見人に、三菱UFJ信託銀行に対して、後見人変更の手続きをするようにも伝えておく。
後見人変更の書類は三菱UFJ信託銀行から既にもらっているので、渡す。
後見人変更には、私が辞任した旨の記載のある登記事項証明書が必要なので、これも取るよう伝える。
また、今後も家庭裁判所の監督は続くこと等も伝える。
(15)専門職後見人は、家庭裁判所に対して、引継の報告書を提出する。
これで終了
親族後見人は、管理している本人の口座のある金融機関に対して、後見届けをしていない場合がある。
そういうときは、振込みや解約をする前に、後見届けをする必要がでてくる(通常はこれらの手続きは同時にする)。
なので、こういう場合は、親族後見人に、実印や印鑑証明書等、後見届けに必要と思われるものも準備しておいてもらうよう伝える。
なお、以前、口座を解約する場合、後見届けは不要という金融機関と、必要という金融機関があった。
信託のための後見人は、信託が終われば、後見人を辞任することとなる。
それなのに、本人の口座のある金融機関に対して私を後見人として届出てしまうと、私が辞任後に、親族後見人は、後見人の変更の手続きをしないといけなくなる。
なので、私は、本人の口座のある金融機関に対して、私を後見人とする届出、または、親族後見人から私へ後見人を変更する届出はしていない。
親族後見人が金融機関に対して後見届出をしていなければ、これを機に後見届出をしてもらい、既にしていれば何もしない。
過去に一度だけ、東京ではない家庭裁判所において、私に財産管理権の権限が分掌されたことがあった。
なので、このときは、いったん親族後見人から本人の通帳を預かって、金融機関に対しても後見人の変更をした。
信託銀行への振込みも、私が単独で行った。
個人的には、権限分掌してなんの意味があるんだろうと思った。
私が辞めた後、また親族後見人に変更しないといけなくなるのに。
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