相続財産管理人
これから、台風10号がやってくるとのこと。
相続財産管理人といったら、相続人不存在のときと、すぐ思う。
実務でもある話であるし。
相続財産管理人は、相続人がいない、相続人がいるかいないか明らかではない、相続人はいたけど全員相続放棄をした、というような場合における家庭裁判所の手続き(民952)。
相続財産管理人は、相続人を探したり、債権者に弁済したり、特別縁故者に財産分与をしたり(特別縁故者からの申し立てがあった場合)して、相続財産を清算していく。
残った財産は、国庫に帰属される。
被相続人の相続財産は、法人となる(民951)。
具体的には、「亡○○相続財産」という法人になる(○○は被相続人の氏名)。
また、これは、不動産登記にも関係している。
民法952条により相続財産管理人が選任され、その被相続人が不動産を所有している場合は、相続財産管理人は、その不動産の登記名義を「亡○○相続財産」と変更する氏名変更登記を申請する。
なお、被相続人の相続財産管理人の選任審判書上の住所と登記上の住所が違っていれば、住所変更登記も必要となる。
不動産が特別縁故者に分与された場合は、所有権移転登記をする。
なお、以前、家庭裁判所の相続財産管理人の選任審判書は資格証明書も兼ねているのだから3ヶ月以内のものが必要、と某法務局から言われたことがあった。
しかし、確か、これについては期限はないと理解している。
一方、何年か前だかのある研修で、民918条2項の相続財産管理人というのを聞いた。
これは、簡単に言えば、相続人の熟慮期間中に、被相続人の財産を管理する者を選任する、というものである。
相続財産管理人=相続人不存在、という思い込みがあったので、相続人がいるのに相続財産管理人って何?と思ったが、そういう規定があったのであった。
そして、これと成年後見が絡む。
具体的には、被後見人等が死亡すると成年後見業務は終了し、成年後見人等は管理していた被後見人等の財産を相続人に引継がなければならないが、成年後見人等は被後見人等が死亡すると財産管理権限がなくなるので、相続人に引き継ぐまでの間に時間がかかりそうというような事情があれば、これを利用できるのではないか、ということだった。
ようは、相続人に引き継ぐまでの中継ぎとして、被後見人等の財産を権限をもって管理する者を選んでおく、といった感じである。
被後見人が死亡したときに、裁判所からきた連絡文書にも、「相続人不存在であることが判明した場合や相続人は存在するが同人から受領を拒絶されるなど引継に何らかの支障がある場合には、相続財産管理人の選任(民952、918条2項)の申立てをしてください」というようなことが記載されていた。
確かに、元後見人等が権限がないまま管理するよりも、権限を持つ相続財産管理人を選任してその者が財産を管理した方が安全ではある、と思う。
これって、実務上、どれくらい利用されているのでしょう。
「家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務(第2版)」という書籍では、この相続財産管理人について、相続の承認又は放棄前の相続財産の管理者として、255ページから259ページまでに記載があった。
約4ページの記載。
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