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後見制度支援信託

台風7号が関東に接近していて、今夜から大雨になるとのこと。

後見制度支援信託について

後見制度による支援を受ける方(本人)の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として親族の後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのこと。(東京家裁Q&Aより)

これは、裁判所の運用により、平成24年2月から始まった。
信託すると、信託財産を払い戻したり解約したりする場合は、裁判所の指示が必要になる。
ようは、裁判所の関与がないと下ろせない預金みたいな感じ。

後見制度支援信託は、成年後見と未成年後見において利用可能。
以下、成年後見についてのみのことを述べる(未成年後見の信託は経験ないので分からない)。

後見人は、定期的に裁判所に報告をするが、その報告を受けたときに、裁判所は後見制度支援信託を利用するかを検討し、親族後見人に照会をしている。(これを継続という)
また、後見制度支援信託運用開始後に、後見開始の申立てをした場合は、裁判所は、申立時に、後見制度支援信託を利用するかを検討している。(これを新規という)

当初は、裁判所は、1000万円を超える資産(ほぼ預貯金)がある場合に後見制度支援信託を利用を検討していたが、今は500万円を超える場合となっている、とのこと(Q&Aに記載されている)。

後見制度支援信託を利用する場合は、司法書士や弁護士の専門職後見人が選任される。
そして、信託契約を締結した後は、後見人を辞任をすることとなる。
なお、私が後見制度支援信託のための成年後見人になったのは、平成26年以降のこと。

後見業務としては、新規の場合は初回の裁判所への報告があるが、継続の場合はこれはない(既ににされているので)。
そういった違いはあるが、信託については同じである。

信託については、以下のようにしていく。


(1)信託の適否の検討→信託に適さない事情があれば不適当、なければ適当
(2)信託の利用が適当な場合、次のことを決めていく
 ○利用する金融機関(三井住友信託銀行、みずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行、千葉銀行)
 ○手元に置く額・信託する額
  ○定期交付金の額、期間、時期
  ○追加信託
(3)後見人は裁判所に、信託契約が相当である旨(上記(2)の内容)の報告書を提出
(4)その報告につき、裁判所が相当と認めれば、裁判所から指示書が出る
(5)後見人は、指示の日から3週間以内に、金融機関に信託の申込みをする
(6)後見人は、信託の金融機関に、信託する額を振り込む→信託成立
(7)後見人は、裁判所に、信託契約を締結した旨を報告
(8)後見人は、裁判所に、後見人辞任許可申立てと報酬付与申し立てをする
(9)辞任許可と報酬付与の審判がでる(裁判所から法務局に、辞任の嘱託登記がされる)
(10)報酬を受領し、親族後見人に引継ぐ(引継の報告書を裁判所に提出)
終了

信託の適否は個別事情によるが、例えば、本人に遺言があって、その内容が特定の預貯金を特定者に相続させるようなものの場合は、適さないだろう。

信託を利用する場合の金融機関については、親族後見人が後見業務をやりやすいところを選ぶようにしている。
なお、千葉銀行も始めたようだが(今日知った)、こちらは多摩地区なため、除く。

信託契約時の報酬は、三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行は無料、みずほ信託銀行は無料だが信託額が1000万円未満のときは32,400円(税込)、りそな銀行は162,000円(税込)となっているため、どうしても最初からりそな銀行は候補からはずれてしまう。
実質、三択。
最低信託額は、三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行は1000万円となっているので、これ未満の信託の場合は、実質、みずほ信託銀行1つとなる。


三菱UFJ信託銀行は、すべて郵送扱いなので、近隣に他の金融機関の支店がないとか、あっても窓口に行く時間がないような場合は、いい。
三井住友信託銀行は立川や吉祥寺に支店があるし、みずほ信託銀行は府中や八王子に支店があるので、そういった窓口に行けるのであれば、こちらでもいい。

三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行は信託専用の通帳ができるが、みずほ信託銀行は、通帳はなく、証書。

信託申込時にあたって、本人(被後見人)の本人確認書類が要求されるところがあるが、三菱UFJ信託銀行は登記事項証明書で可、三井住友信託銀行は原則必要だが登記事項証明書だけの場合は登記上の住所に確認書類を送る、みずほ信託銀行は必要となっている。
ただし、みずほ信託銀行については、私が関与したときは本人確認書類が必要だったが、今はどうかは確認しないと分からない。

私が関与した場合だと、三井住友信託銀行と三菱UFJ信託銀行がほとんど。



手元に置く額は、本人の生活状況・収支状況を基に決める。
個人的な印象としては、200〜300万円はあった方がいいなと思う。
預貯金が2000万円あり、手元に300万円置くとなった場合、その差額の1700万円を信託する、ということになる。


定期交付金とは、定期的に、信託した財産から交付を受ける金員のこと。
毎月の収支が赤字の場合は、この検討を要する。つまり、収支が黒字なら、これはしない。
収支が赤字の場合に、その補填をするため、1か月または2か月または3か月または6か月ごとに、信託財産からいくら交付を受けるかを決める。
例えば、毎月の収支が5万円の赤字だったら、毎月5万円とか、2か月ごと10万円とか決めていく。
また、その交付金の振込日と、その振込先はどこにするかも決める。

三井住友信託銀行の場合、振込日は15日か25日のどちらか、とのこと。

追加信託は、本人の財産が増えた場合に、金銭を追加して信託をすること。
例えば、保険金を受領したとか、不動産を売却してその代金を得たとかいうような場合に、信託をすることとなる。
財産が増えるような事情があらかじめ分かっているような場合、追加信託についても検討し、報告をする。


2件のコメント

  1. 千葉銀行も取扱いを始めたとは知りませんでした。情報ありがとうございます。

    • 私も、昨日、東京家裁のWebサイトを見て知りました。千葉銀行のWebサイトによると、7月27日から開始したとのことです。
      ただ、東京ですと、千葉銀行を選択する場合はほとんどないと思いますね。契約時の報酬や管理報酬もかかるとのことですし。

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