■相続
人が亡くなりますと、そにれまつわる手続が、いろいろと生じてきます。死亡届けの提出から始まり、埋葬許可申請、年金や国民健康保険等に関する手続、生命保険の手続、郵便局や銀行に関する手続、税金の手続、登記の手続等です。
■相続登記
不動産の所有者が亡くなった場合、その所有権が相続人に相続されます。登記的には、相続によって、登記上の所有者から相続人に所有権が移転されたということになります。そこで、相続人が所有権を相続したことを公示するために所有権移転の登記をするのですが、これを相続登記とよんでいます。
■相続登記をする前に
相続登記をするときは、「どの不動産を誰が相続するか」が決まっていなければなりません。そのためには、事前に「相続人の特定」と「遺産の分配」をしておく必要があります。
■相続人の特定
亡くなった人(被相続人)の相続人は、次のとおりとなります。なお、配偶者は常に相続人です。
相続人
第一順位:配偶者&子供(直系卑属)
第二順位:配偶者&親(直系尊属)
第三順位:配偶者&兄弟姉妹
被相続人に子供がいた場合は、子供が相続人になります。また。子供が先に亡くなっていた場合、その子供に子供(つまり、被相続人の孫)がいれば、孫が相続人になります。これを、代襲(だいしゅう)相続といいます。
孫も先に死んでいた場合で、ひ孫がいれば、ひ孫が相続人となります。
被相続人に子供がいない場合、次に、被相続人の親が相続人となります。
親が被相続人より先に死んでいた場合、その親に親(つまり、被相続人の祖父母)がいれば、祖父母が代襲相続人となります。
被相続人に子供も親もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に死んでいた場合、その子供(つまり、被相続人のおい・めい)が代襲相続人になります。
おい・めいが被相続人より先に死んでいた場合、おい・めいに子供がいても、その子供は相続人にはなりません(兄弟姉妹の代襲相続は1代限り)。
被相続人の戸籍謄本等を取得していきながら、相続人の調査を行います。この調査は、結構大変です。特に、昔の戸籍等は、とても達筆で書かれているものもあるので、読めないこともしばしば。また、過去に転籍(本籍地を移すこと)を何度も繰り返していたりすると、その都度、その本籍地を管轄する市区町村に戸籍 謄本等を請求しなければならないので、時間がかかったりします。
■遺産の分配
相続人が特定したら、相続人の間で、被相続人の遺産を分配します。それにはまず、遺言があるかどうかを確かめ、遺言があればそれに従います。
遺言がなければ、相続人間で遺産分割協議を行います。遺産分割協議が成立しない場合、家庭裁判所で遺産分割調停を行うこともできます。遺言はなく、遺産分割協議もしないのであれば、法定相続分に従って相続することになります。
<法定相続分>
第一順位 配偶者 1/2 ・ 子供 1/2
第二順位 配偶者 2/3 ・ 直系尊属 1/3
第三順位 配偶者 3/4 ・ 兄弟姉妹 1/4
■相続登記に必要な書類
相続登記に必要な書類の主なものは、次のとおりです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
被相続人の(除)住民票または戸籍の(除)附票、 改製原附票
(*)登記簿上の住所と最後の住所が違うときは、登記上 の住所が出てくるまで住所を追いかける
遺言
遺産分割協議書(実印押印)・印鑑証明書
相続人の戸籍謄本等
相続人の住民票または戸籍の附票
評価証明書
登記済証(権利証)は、相続登記に必要なものではありませんが、たまに必要になるときもあります。
また、ケースによって、上記以外の書類が必要になるときもあります(未成年者が相続人の場合で遺産分割協議を行うときに必要な特別代理人選任審判書など)。
■相続登記の費用
相続登記にかかる費用(実費)は、次のとおりとなります。
(1)戸籍謄本等の取得費用(送料含む)
(2)登録免許税
(3)法務局や市区町村役場への交通費
以上が、最低でも相続登記にかかる費用です。司法書士に相続登記を依頼すれば、別途、司法書士への費用もかかります。
■司法書士への費用はどれくらいかかる?
当事務所に依頼された場合の費用は、こちらをご覧下さい。
なお、司法書士報酬も自由化となりましたので、各司法書士によって、費用はバラバラです。
■戸籍謄本等を郵送で取得する
住民票や戸籍謄本等は、郵送で取得することができます。この場合、管轄する市区町村役場宛に、
(1)住所または本籍地
(2)筆頭者の氏名
を書いた申請書(申請書を、ホームページからダウンロードできる市区町村もあります)、定額小為替、返信用封筒を同封して、送付します。定額小為替は、郵便局で購入できます(発行手数料が別途かかります)。
■相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議
(例)父死亡。相続人は、母、子A(15歳)、子B(10歳)とする。父が持つ不動産を母が相続する場合の遺産分割協議
通常、未成年者の子供A・Bの代理人は親となります。
しかし、遺産分割協議において、未成年者の子供の代理人にその親は代理人となることができません。
遺産分割協議においては、たとえ親子といえども、その利害が対立する構図となります(感情的に対立するということではありませんよ)。
というのも、母が不 動産を100%相続するということは、未成年者の子供達が本来もっている法定相続分(A・B各1/4)を奪う結果となるからです。
そこで、このように親と未成年者の子供との利益が相反する場合、親は未成年者の子供のために、「特別代理人」の選任を、家庭裁判所でおこなわなければなり ません(民法826)。
(親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、親権者の意図やその行為の現実の結果の如何にかかわらず、利益相反行為に当たる (判例))。
(例)の場合、母は、子A・Bのために、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求することとなります(子A・Bそれぞれについて特別代理人を選任の請求をする)。
そして、母と選ばれた特別代理人との間で、遺産分割協議を行うことになります(遺産分割協議書に署名・押印(実印)するのは、母と特別代理人です)。
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